テレビPRで有名経済番組の取材を受けるには?

企業名の認知拡大や、企業ブランドの価値を高めるために、経済番組への露出を望む広報担当者は多くいます。本記事では、実際に有名経済番組でオンエアを獲得した、某アパレル企業のテレビPR活動を例に、経済番組取材を受けるためのノウハウをご紹介します。

ブランド名ではなく、企業名の認知を上げたい

人気ブランドを多く抱える日本の代表的アパレルメーカーA社は、各ブランドの認知度は高いものの、それらが全てA社のブランドであることを知る人は少なく、企業名の認知度が低いという課題を抱えていました。

今後の方針として、「採用にも力を入れたい」と考えていたA社。そのためにも、企業名の認知拡大と、企業ブランドを向上させるコーポレートPRの手段の1つとして、テレビに取材してもらうための情報設計を必要としていました。

コーディネート対決では意味がない!

ファッション系のテレビ番組コーナーとして真っ先に思い浮かぶのが、お昼の情報番組の人気コーナーであるコーディネートバトル。芸能人が実際にショッピングをしながら、テーマに合ったコーディネートを作り上げていく当コーナーですが、取り上げられたブランドは放送後にお問い合わせが殺到するなど、何かしらのメリットが得られる場合があります。

しかし今回のA社の場合、目的はブランドの認知向上ではなく、企業名の認知向上。番組内でA社のうちの1ブランドが紹介されたところで、企業名までその番組内で紹介されることはありません。そこで企業名をテレビに出すための戦略として、経済番組を狙ったテレビPR活動を行うことになりました。

テレビ番組の情報設計の違いに着目

社長インタビューなどを交えながら、その企業の戦略や事業の紹介を行う経済番組。仕事終わりのサラリーマンが見るような経済番組は、もちろん昼間に主婦が見るような情報番組とは、情報設計の仕方が異なります。

朝や昼の情報番組は、主婦が家事をしながら見ることを想定されて作られているため、ながら見できる情報や、じっくり考える必要がなくわかりやすい情報を取り上げています。それに対して夜の経済番組は、企業の経営層や幹部クラスの人が見ることを想定して作られており、世の中や社会の動きがわかる情報や、明日の仕事で活かせるような情報などを取り上げています。そのため経済番組で取り上げてもらうためには、まず自社が持っている情報の中から経済番組が好む「ネタ」、つまりビジネスパーソンの役に立つ情報を導き出す作業が必要です。

A社の場合、その情報の1つに「マルチブランド戦略」というものがありました。マルチブランド戦略とは、同じ製品カテゴリーに複数のブランドを展開するマーケティング手法のことを指します。不況なアパレル業界の中で、A社が着実に業績を伸ばしている秘訣は「マルチブランド戦略」にあるという仮説を立て、1企業1ブランドで業界最王手に立つユニクロに立ち向かう企業として、テレビ局への情報提供を実施。その結果、経済番組にて特集が組まれることが決定しました。

経済番組で狙い通りの露出を獲得することに成功

番組ごとの情報設計の仕方に着目したテレビPR活動を行った結果、1時間近い尺のある有名経済番組にて、社長インタビューや新ブランド紹介を交えたオンエアを獲得することに成功。同番組の過去3か月の平均視聴率を上回る高視聴率を記録しただけでなく、オンエア中にA社のホームページがアクセス殺到でダウンしてしまうほどの反響を得ました。

またこの反響の大きさはSNSでも見受けられ、放送日の番組内容やA社に関する投稿は6倍以上に増加。

その大半が、
「あれもこれもA社なんだ」
「A社で働きたい」
「A社ってこんなにブランドあるの?!」
といった、ポジティブな内容の投稿でした。

この放映を広告換算値にすると約3億円にも及び、企業の認知度と企業ブランドの価値を高めるテレビPRとして、大成功を収めることができたと言えます。

戦略的にテレビPRを行うには

このように、ただテレビ番組に取り上げてもらおうとするのではなく、テレビPRを実施する目的を整理した上で、その目的が達成できるテレビ番組の選定と、その番組の分析を行わなければいけません。テレビ番組ごとに特化した情報を提供することで、番組内で取り上げてもらえる確度は大幅に上がります。

またテレビ局とのリレーションを持つPR会社に依頼すれば、どんな情報にバリューがあるのか、またこのネタはどうして取り上げてもらえないのか、テレビ局直伝のアドバイスをもらうことも出来ます。WEBメディアに比べて取り上げてもらえる機会の少ないテレビPRは、1回では諦めずに根気強く行う必要があるため、リソースや時間を割けない場合は、PR会社に依頼することも検討すると良いかもしれません。

テレビPRの基礎については、『テレビPRとは?|テレビCMとの違いとメリット』こちらの記事をご覧ください。

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