広報のオンライン化による課題と解決策を探る。広報業務に関する独自調査レポート【2021年版】

株式会社マテリアルでは、「広報業務に関する独自調査」(調査期間:2021年7月19日~9月10日、調査対象:広報PR担当者、有効回答数:37名)を実施しました。
今回は調査結果のうち、「担当している広報業務とコロナ禍での業務内容の変化」「オンライン化で効率の下がった業務」「今後完全オンライン化したい業務」の3項目に焦点を当て、特にコロナ禍で浮き彫りとなった広報PR業務の課題と、今後のPR活動において意識すべきポイントについて探っていきます。

アンケート結果と広報担当者が抱える2つの課題

コロナ禍で減少したメディアとの接点

アンケートではまず、現在担当している広報業務をすべて選んでいただきました(Q6)。その結果、最も多かったのが、「企業広報」で94.6%、次いで、昨年のアンケートで担当者が最も多かった「商品広報」で83.8%となりました。さらに、「社内広報」「採用広報」などを担当する方も増加しており、全体的に様々な広報活動を兼務している広報担当者が増えていることが分かりました。

続いて、コロナ禍において広報業務に変化があったか伺うと、78.4%の人が「変化があった」と回答(Q7)。具体的な変化としては、「メディアとのコミュニケーションがうまくできなくなった」という声が多く挙がりました。

オンライン化で効率が下がったのは「メディアリレーション開拓」と「イベント実施」


次に、コロナ禍でオンライン化へと移行した様々な業務の中で、効率の悪くなった業務(一つ選択)について伺うと、「メディアリレーション開拓、構築」が29.7%で1位、「記者発表会、メディア向けPRイベント」と「一般消費者向けイベント」が18.9%で同率2位という結果になりました(Q13)。


しかし、「メディアリレーション開拓、構築」についてのオンライン化状況を詳しく見てみると、「ほぼできた」というポジティブな意見と、「しようとしなかった、できなかった」というマイナスな意見がほぼ同数であることが分かりました(Q9-1)。このことから、オンライン化には移行できつつあるものの、効率化の面ではうまくいっておらず、結果や成果に結びついていない現状がみられました。

このように、メディアリレーション開拓や構築ができていない現状については、直接コミュニケーションできる機会が減ったことや、在宅勤務が進んだことで編集部の方が不在となっている状況が続いていることに起因していると考えられます。これまで繋がっていた連絡先が使えなくなり、たとえ、対象のメディアと親和性のある情報を持っていたとしても、届ける手段がなくなってしまった方も多いのではないでしょうか。



また、同率2位となっている「記者発表会、メディア向けPRイベント」と「一般消費者向けイベント」などの「イベント実施」も、コロナ禍における広報担当者の課題として浮上しました。「イベント実施」のオンライン化状況について詳しく見てみると、「そもそも実施を考えなかった」という意見が群を抜いて多い結果に。オンラインでのイベント実施に関する知見がなく、実施に至らないという声が多い中で、「一度は実施を検討したが、参加者とのコミュニケーションの観点で、オフラインに勝るように感じなかった」という意見も見られました(Q9-5/Q9-6)。

オンラインとオフラインのハイブリットでのイベント実施が求められている


続いて、将来的に完全オンライン化したい業務について伺いました。多く意見が寄せられたのは、「プレスリリース配信」や「クリッピング、モニタリング」などの現在も問題なくオンライン化で対応できている業務となりました(Q15)。

一方で、「メディアリレーション開拓、構築」や「プロモートやキャラバン活動」などにも票が集まっています。コミュニケーションの大切さは感じつつも、もしオンラインで対応できるならば挑戦したいという声が多く挙がる結果となりました。また、「記者発表会、メディア向けPRイベント」や「一般消費者向けイベント」に関しては、オンラインとオフラインのハイブリットで実施していきたいという意見がみられ、完全にオンライン化したい業務ではないことが分かりました。

広報業務のオンライン化がもたらす課題を解決するヒント

ここからは、先述した課題の中で、特に広報担当者が悩みを抱えている「メディアリレーションの開拓、構築」と「オンラインイベント実施」について、対処法や解決策をご紹介いたします。

メディアへのアプローチは記者クラブを活用

まず、「メディアリレーション開拓、構築」については、“記者クラブの活用”をしてみてはいかがでしょうか。もちろん、このコロナ禍では記者の方も外出自粛や取材制限をしています。ですが、メディアが以前より情報を得ることが難しくなっているのも事実で、たとえば、記者クラブは情報の受け入れ体制を以前よりも充実させています。資料やリリースもメール・郵送で受け付けてくれるところが増えました。

また、もし特定の地域や地方に影響があるニュースであれば、市政の記者クラブや県庁所在地にある県政記者クラブの利用もお勧めします。加えて、政令市例都市には経済記者クラブが配置されていますし、官公庁・首都圏の民間記者クラブも、新聞社と通信社、テレビ局への情報提供が可能です。

その上で、記者クラブに加盟していない出版社やウェブメディア、ローカルメディアに対しては、個別で情報提供を行うことが効率的でしょう。特に影響力のある重要メディアを集中的にアプローチできるとなお良いです。署名記事や連載コラム、過去の取材実績を調べると、編集方針や論調なども把握できるため、事前把握を行ったうえで、そのメディアにとって有益な情報の提供を持ちかけてみてください。SNSなどから、直接記者に連絡をとることにチャレンジしてみても良いかもしれません。このように、下調べを通じてメディアをよく理解することが、メディアや記者との信頼関係構築に繋がります。

オンラインイベントを実施する際のポイント

続いて、「オンラインイベント実施」について、メリット・デメリットから実施のプロセスなどについてご紹介します。

オンラインイベントのメリット/デメリット
例として、記者発表会をオンラインで行う場合でご説明します。何事も良い点、悪い点が存在するため、できる限りメリットを生かし、デメリットはあったとしても最小限にとどめるものとして考えましょう。

まずメリットについて、「会場費などの経費が削減できる」「招待された側の報道関係者なども移動時間の削減ができる」「感染リスクが少ない」などが挙げられます。特に、これまでは距離の問題で参加が難しかった地方メディアなども、オンラインであれば簡単に視聴することができるため、新しいメディアリレーションのきっかけになる可能性があります。そのため、今後オンラインで実施する場合には、招待メディアを見直してみるのも良いでしょう。

次にデメリットについて、「視聴者が現場の臨場感を感じられない」「取材対象と直接会うことができない」などが挙げられます。これらの解決策としては、報道関係者との緻密なコミュニケーションを取ることが考えられます。取材をする側の立場になり、このイベントを成立させるためにはどのような情報や補足資料、グラフ、映像や画像素材が必要かを考えて要望などがあれば個別に対応しましょう。また、事前に質問を入手して個別のインタビューを仕立てることも可能です。より質の良い記事にしてもらうためにも、様々なやり方が検討できるでしょう。

②オンラインイベント実施の際のプロセスについて
オフラインと同様、イベントを実施するタイミングを考えるところから始めましょう。特に、最近はオンラインイベントも飽和状態になりつつあるため、ほかの報道発表やイベントと重ならないよう、スケジュールのリサーチが非常に重要になります。また、連休の前や金曜日の午後など、一般的に発表モノが重なりやすいタイミングはできるだけ避けたほうが良いと言えます。

イベントを実施するタイミングが決定したら、3週間ほど前に告知を行い、参加動員を始めます。現在、ZOOMをはじめ、様々なツールが普及していますが、ツールによっては参加者との相互コミュニケーションを密にできるようなものもあります。開催しようと考えているイベントにはどのような手段が最適なのかを判断し、使用するツールにこだわるのも良いでしょう。

③オンラインイベント実施の際に起こりうるリスクとその危機管理について
例として、“新製品発表会で、企業の代表者やタレントが登壇するオンラインイベント”を想定してご説明します。まず、オンラインに限ったことではありませんが、外見リスクを考えるところから始めましょう。タレントはスタイリストが衣装やメイクを決めますが、企業側から複数の登壇者がいる場合には、事前にタレントとのバランスを考えた演出を意識してください。カラーや絵柄、ストライプ柄などが被らないように、同じ画面で見ていても違和感を感じさせない雰囲気を心掛けましょう。照明効果も使われることがありますが、ピンクや水色などの淡い色はあまり映えない場合があるため、注意が必要です。

上記の、衣装や色味、柄などを事前に確認することはもちろん、可能であれば企業側の登壇者にもスタイリストをつけると良いでしょう。スタイリングと言っても、大切なのはオシャレさや派手さを競うことではなく、その企業の公式スタイルとしてふさわしいかを確認することです。新製品発表会の場合であれば、新製品が主役であることを考えた画写りを心掛けると良いと思います。

オンラインの場合には、質問をチャットやメールで受け付けることが多くなるため可能であれば事前質問などを伺っておきましょう。想定質問も用意すると思いますが、質問を振り分ける司会者との打ち合わせを綿密に行い、受けた質問に答えきれずに消化不良で終わる、などということが起きないよう準備が必要です。もし、未消化の質問が出てしまった場合には、後からでも良いので必ずお答えしましょう。メディアが質問する内容は、記事化の際の重要な要素となる可能性が高いため、丁寧に対応することを心掛けてください。

④オンラインとオフラインのハイブリットで行う場合のポイントについて
今後、コロナによる規制が緩和されると、オンラインとオフラインのハイブリットで運営していくことも検討されると思います。その際のポイントとして押さえておきたいのは、イベントの目的やターゲットをしっかり設定することです。先述したとおり、オンラインイベントには距離に関係なくどこからでも参加できるというメリットがあります。そのため、認知の拡大やより多くの人に知ってもらうことが目的の場合は、オンラインの方が向いていると言えます。反対に、テレビ局のムービーカメラを誘致したい場合などには、オフラインで行うべきでしょう。カメラマンは技術者のため、現場の臨場感や撮影技術で、イベントをさらに盛り上げてくれることが期待できます。

広報PR活動に対する悩みをお寄せください

さいごに、PR GENICでは『PR相談室』を設けています。昨年に引き続き、今回のアンケートでも浮き彫りとなった、1人または少人数で職務を担うことが多い広報PR担当者にとって、気軽に相談できる場所や相手が少ないことも、現状課題のひとつだと思われます。そんな悩みの種一つひとつに寄り添う場所として、PR GENICが皆さまの心の片隅にあればと思います。

投稿する内容は、PRやコミュニケーション活動に関するものであれば何でも構いません。いただいたご相談については、記事コンテンツやセミナー、勉強会などを通じて回答していく所存です。(場合によっては、PRトレーナーより個別でのアドバイスも差し上げます。)みなさまの投稿をお待ちしております。

投稿フォームはこちら⇒https://pr-genic.com/prconsultationcounter

また、昨年の広報アンケートレポートはこちらからご覧くださいませ。

※調査レポートは下記にてご覧いただけます。アンケートにご協力いただいた企業のみなさま、誠にありがとうございました。

PR report 2021 material

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