もしも突然、テレビ局から取材の依頼が来たとしたら、あなたははじめに何を考えますか?テレビPRを実施している企業もそうでない企業も、広報PR担当にとって、メディア取材を受けることになった時の対応方法を知っているに越したことはありません。
本記事は、先月マテリアルにて行われた『圧倒的な費用対効果!テレビ取材が殺到するストーリーマーケティングセミナー』のレポート記事第1弾として、テレビに取り上げられた時の宣伝効果を最大化する「テレビ取材対応ハウツー」をご紹介します。
CONTENTS
テレビPRの概念と効果
はじめに登壇したのは、公益社団法人日本PR協会教育委員会メンバーで、日本広報学会理事の田代順氏。田代氏はセミナーの序章として、テレビPRの基礎について解説しました。
テレビPRとは、番組内に企業の情報を仕込む活動のことを指します。テレビ側にお金を支払って情報を出す「テレビCM」や「通販番組」とは異なり、番組ごとの編集方針やタイミングなど、様々な要素が合致した時のみ取り上げられるため、0から取り組もうとするとハードルが高い活動でもあります。
しかしその分、取り上げられた時の宣伝効果が圧倒的に高いのが、テレビPRの最大の魅力です。過去にテレビPRを実践して、実際にテレビ番組内で紹介された企業の中には、オンエア後に2000件もの予約が入った企業や、前年比売り上げ500%を達成した企業などもありました。(テレビPRの効果については、『テレビPRで売上前年比500%UP?!事例から学ぶテレビの宣伝効果とは』こちらの記事をご覧ください。)
テレビ局の内部事情を知る①テレビ制作の職種と職務内容
テレビPRを実践する前に、まずはテレビ局の内部事情をある程度理解しておかなければなりません。
はじめに田代氏が紹介したのは、テレビ番組が出来上がるまでの段取りについて。ひとつの番組制作には、プロデューサー、ディレクター、放送作家、リサーチャー…など複数のスペシャリストと、制作会社をはじめとする外部の人が携わっています。
しかし具体的な番組制作の流れや役割は、テレビ局とテレビ番組によって実に様々。そこで田代氏がすすめたのが、『マスコミ就職読本』などといった、マスコミ就職ガイド本を活用した調査法です。これらの本には、様々なテレビ制作会社の情報が掲載されており、それぞれの制作会社が手掛けている番組が紹介されています。
首都圏のテレビ局はセキュリティが厳しく、アポなしで面会に行くことのハードルが高いため、番組や持っている商材によっては、テレビ局ではなく直接制作会社に話を持ち掛けるのもひとつの手です。これらの本に掲載されている電話番号に、直接問い合わせてみるのも良いでしょう。
テレビ局の内部事情を知る②オンエアまでの流れ
次に紹介したのは、番組企画が上がってからオンエアされるまでの流れです。
はじめに、番組担当者、プロデューサー、ディレクター、営業担当が検討案を持ち寄り「企画会議」が行われます。企画会議で採用された案は、その後企画に関わるスタッフが全員集まる「制作会議」に持ち込まれます。ここに外部の制作会社の人も入って、どういうタレントでどういう場所で、またどういう画を撮るかという話し合いが行われ、番組内容のアウトラインがここで共有されます。その後、主にADから店舗(取材候補地)への裏取り確認が行われ、企画案の最終決定がなされます。
企画会議からオンエアまでの期間は番組によって様々ですが、テレビ番組にアプローチする際には、およそ3カ月前ほどから情報を仕込んでいくのは有利だとアドバイスしました。
テレビ取材対応のハウツーとは?
取材時間は狙いたい番組時間帯から逆算
テレビ番組と一口に言っても、報道番組、情報番組、バラエティ番組…など、番組の種類によって取り上げられるネタや取材先は様々です。例えば、報道番組の場合は1日に複数の取材を行うため、カメラ・音声・照明クルーで構成されたチームが複数組まれます。そのチームごとに、A班はここ、B班はここ…と、当日の朝取材先が振り分けられます。
また、報道番組では取材を行った当日に放映されることも多く、早くて取材の2時間後には放映される場合もあります。そのため報道番組への露出を狙う場合は、テレビに取り上げられたい時間帯から逆算して、メディアを誘致することが大切です。
取材依頼が来た時に広報担当がすべきこと
テレビ局から取材を申し込まれた段階で、広報担当者は「どう受け答えできるといいか?」を先に考えておく必要があります。しかし、この段階でADが取材先に伝えられることは、「どんなチーム編成で取材に来るのか」程度です。そのため、例えば取材先が飲食店であれば、放映イメージがディナーなのかランチなのか、また下見に来るタイミングなど、事前に把握しておくべきことは自ら聞くことが大切です。
また先述した通り、打診を受けている段階では取材確定ではないため、その点も心得ておくと良いでしょう。駐車場や搬入経路、メニューの紹介、またBGMの問題など、先方が取材する際に気になるポイントを先に伝えておくことで、「ここは取材したら楽そうだ」とテレビ局側に思わせることができ、企画会議でも生き残りやすくなります。
カメラの写り込みまで配慮出来たら一流のPRパーソン
取材が決まった際には、「店舗や人がどのように映ることが理想か」を考える必要があります。例えば社長インタビューが決まったら、社長の背景に写り込むものを意識する。料理をメインで撮る場合は、料理の湯気が出やすいように冷房を普段より強めにする。店舗の内装を撮る場合は、あまり写り込んで欲しくないものや、テレビ番組スポンサーの競合に匹敵するものを隠しておく。…など、カメラマンへの配慮が肝となります。
また広報担当者は、カメラマンの後ろに立って、手元モニター映像の確認を一緒に行うことを欠かしてはなりません。編集の段階になると、外部からの口出しや要望を言うことは不可能になりますが、撮影の段階であれば、まだ撮り直しができるかもしれないためです。
このようにカメラマンへの配慮まで出来るようになれば、あなたも一流の広報PRパーソンと言えます。テレビに取り上げられた時の宣伝効果を最大化するためにも、取材対応のノウハウは身に着けておきましょう。
次回公開の『圧倒的な費用対効果!テレビ取材が殺到するストーリーマーケティングセミナー』レポート2/3では、50年続く老舗旅番組『遠くへ行きたい』のプロデューサーを務める、テレビマンユニオン・森明子氏の講演内容をご紹介。星の数ほどある旅番組の中で、なぜ『遠くへ行きたい』が50年も続き、今もなお愛され続けているのか?その理由の裏側にある番組の強いコンセプトと、いま旅番組が求めている情報について解説します。併せてお読みください。
1995年生まれ大阪育ち。2018年同志社大学卒業後、株式会社マテリアルに新卒入社。1年目でウェブメディア『PR GENIC』を立ち上げ、記事の執筆と編集全般や、セミナーの企画など、コンテンツ作りを幅広く担当。半年間ハウスメーカーのマーケティング部への出向も経験。現在はオープンイノベーション支援に従事しつつ、外部アドバイザーとして編集のサポートを行っている。