認知獲得や販促キャンペーンなど、さまざまなシーンで活用できるデジタル広告ですが、年々その種類は増加しており、何を使えば効果的か判断することが難しくなっています。また、従来の広告メッセージだけでは、商品やサービスの価値を訴求しきれていなかったり、生活者の理解を深めることができなかったりと、デジタル広告の活用方法について悩んでいる担当者は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、メディアを利用した広告手法のひとつである「タイアップ広告」について、そのメリットと効果的な活用方法を解説します。
※ここで言うタイアップ広告とは、メディアとの記事タイアップを指します。
CONTENTS
タイアップ広告とは
タイアップ広告とは、メディアに費用を支払い、自社の商品やサービスについて紹介する記事を書いてもらう、広告手法のひとつです。「メディアタイアップ」や「記事広」などとも呼ばれます。
通常、メディアに記事を書いてもらうためには、新商品やサービスに関するプレスリリースを送付しますが、編集部が「記事掲載したい」と判断した場合のみの記事化になるため、取り上げられるかどうかの確証はありません。しかしタイアップ広告であれば、自社の商品やサービスに関して伝えたいこと/書いてほしいことを、そのままメディアに記事化してもらうことができます。
オーガニック記事とタイアップ広告記事の違い
オーガニックの記事と、タイアップ広告の記事の主な違いは以下の通りです。
<オーガニックの記事> ✓編集権⇒完全にメディア側にある ✓掲載保証⇒されない ✓費用⇒無料 ✓主なメリット⇒ひとつの情報として生活者に届けられるため、情報の信頼度が高い ✓主なデメリット⇒こちらが意図している文脈で記事化されない可能性がある |
<タイアップ広告の記事> ✓編集権⇒メディアと広告主の双方 ✓掲載保証⇒される ✓費用⇒広告費が発生 ✓主なメリット⇒こちらが意図する文脈をメディア特性を踏まえて記事化可能 ✓主なデメリット⇒「PR」表記がつくため、リテラシーの高い読者には広告として受け取られてしまう |
それぞれの良いポイントを活かしたメディアプランを立てることで、効率よく情報を露出させていくことが可能になります。
タイアップ広告のメリットとは
自社の商品やサービスに関して、伝えたいこと / 書きたいことを記事化できるタイアップ広告ですが、ここからはより詳しいメリットについてご紹介します。
メディアが情報発信元になることで信頼が得られる
メディアにはファンがついているだけでなく、月日をかけて読者との間に築き上げてきた信頼関係があります。そのため、ブランド力や認知度の高いメディアに掲載されている記事であれば、「信頼できるメディアに掲載されている記事だから、記事に書いてある内容も信用できそうだ」と、読者に対して影響力を持つことが期待できます。このメディアが持つ信頼性を借りることが出来るのは、タイアップ広告の最大のメリットであると言えます。
またオーガニック記事と同様、書き手がメディアの編集部になるため、読者にも第三者目線で紹介された情報として受け取ってもらえます。そのため、いわゆる一方的なメッセージで発信された広告とは異なる視点で、メディアのお墨付きを得ながら読者に訴求することができるのです。
ターゲット層に効率的に情報が届けられる
各メディアには、メディアの読者ターゲットとなるペルソナ像が設定されています。
例えば、女性向けメディアであれば、
- 20代後半~30代前半
- 年収300万円以上
- 首都圏内に在住している
- 休日はアクティブに活動することが多く、最近のトレンドやSNS等での情報感度も高い
- 自立した女性になりたいと考えている読者が多いため、自身の仕事に対する向上心を持っている
などのペルソナ像が設定されているため、自社のターゲットと親和性の高いメディアでタイアップ広告を仕掛けることで、効率的に自社の商品やサービス情報を届けることができます。
また、記事を公開するだけでなく、その記事を用いた広告配信や、メディアの公式アカウントにてSNS投稿してくれるなど、さまざまな広告メニューを持っているメディアもあり、より多くのターゲット層に情報を届けることが可能になります。
生活者の消費行動動線に入り込める
生活者が商品やサービスに触れる行動導線に着目することで、タイアップ広告のメリットをより深く知ることができます。
一般的に、生活者は
『認知→興味関心→検討→購入→シェア』※
この行動導線で、商品やサービスに触れていきます。
※これは、Awareness(認知)、Interest(興味関心)、Search(検討)、Action(購入)、Share(シェア)の頭文字をとって、マーケティング用語で「AISASの法則」と呼ばれています。
これらのフェーズにおいて、それぞれ強みを発揮する広告は異なってきます。例えば、『認知』のフェーズでは、潜在顧客に対して自社商品・サービスの情報をリーチできる、ターゲティング広告が強みを発揮します。『購入』のフェーズでは、一度自社商品・サービスに興味を持ったことのある潜在顧客に対して購入を促進できる、リターゲティング広告が強みを発揮しやすいです。
また、この『認知→興味関心→検討→購入→シェア』という行動導線は、ファネル(広く集客したうえで、ふるいにかけられた見込み顧客が段々と少数になっていくこと)と呼ばれ、『認知→興味関心→検討→購入→シェア』の順番で、接触人数が段々と減少していきます。
つまり、認知から購入まで導く間に、いかにして離脱人数・離脱率を減らせるかが重要になります。
そこで、
- 自社商品やサービスへの『興味関心』の喚起
- 自社商品やサービスの良さを伝えて『検討』してもらう
上記2つを主な目的としてタイアップ広告を実施し、認知から購入への離脱数・離脱率を減らす企画を打ち出すことができると、非常に有効的な広告活用となります。
また、認知から購入までの離脱数・離脱率を減らすという観点において、読者のことを熟知しているメディアの企画力や編集力を借りられるのも、タイアップ広告のメリットのひとつと言えます。
タイアップ広告の効果的な活用方法
この章では、効果的なタイアップ広告の活用方法について説明していきます。
特化型メディアの活用
タイアップ広告と聞くと、「権威あるメディアに載せたいから、大手経済系メディアとタイアップしたい」「ネットでバズらせたいから、人気バイラルメディアでタイアップしたい」などのような考えが先行してしまいがちです。しかし大切なのは、メディア主体でタイアップを考えるのではなく、タイアップの目的とゴールを明確にして、それを達成するためにメディアを選定することです。
例えば、タイアップを実施する目的として、「疲労に効く入浴剤を女性に届けたい」のであれば、働く女性をメインターゲットにしているメディアでタイアップを企画する。「子供向けのお菓子を売るために、母親をターゲティングしたい」のであれば、子育て向けメディアや、情報感度の高いママ向けのファッション系メディアでタイアップを企画する、などの活用方法が考えられます。
連載企画などで多面的にアプローチ
タイアップ広告は、基本的にひとつのメディアで1本の記事を掲載して終わることが多いですが、より商品やサービスへの理解を深められるようなサンプリングキャンペーンや、読者を招待したリアルイベントなど、立体的なアプローチも可能です。また、ひとつのメディアでタイアップ記事を連載したり、複数のメディアを介してタイアップを企画したりするなど、さまざまな手法で、より多くの生活者に詳しい情報を届けることができます。
この他にも
- 有識者や著名人をアサインしての対談記事
- 読者へのアンケート調査を含んだ記事
- インフルエンサーを起用した企画記事
など、単にタイアップをするのではなく、メディアやメディアの読者特性に合わせてアプローチ方法を変化させることができます。
タイアップ広告で価値訴求を
費用をかけずにメディアへの掲載を獲得するという意味では、メディア宛にプレスリリースを送付して、自然と記事化されることが必要です。しかし、”広告扱い”といわれるタイアップ広告にも、これまで解説してきたように”単なる広告”以上のメリットがあります。これらのメリットを正しく理解し、メディアの特性を活かしたタイアップを企画することで、より効率的にターゲット層へ商品価値を届けることができます。
さらに、読者のことを知り尽くしたメディアの担当者と、双方的に企画を仕立てることにより、企業やブランドの一方的なメッセージ訴求になることを防止できるのも大きなメリットです。これによって、生活者(読者)は、記事に不信感を抱いたり、飽きることなく、より深い興味を持って記事を読んでくれることになります。
このようなタイアップ広告という手法をPR活動に上手く取り入れながら、より効果的に商品やサービスの価値を訴求してみてはいかがでしょうか。