PRイベントの目的や種類について、「イベントPRの目的と種類|イベントPRを成功させる秘訣」で紹介しましたが、本記事では「PRイベントのつくり方」と題して、PRイベント実施までの具体的な流れをご紹介します。
CONTENTS
PRイベント実施までの流れ
PRイベント実施までの流れは、
- 企画段階
- 制作段階
- 前日
- 当日
- 翌日
と大きく5段階に分けられます。
はじめにPRイベントを実施しようと思い立った「企画段階」から、どんな制作が必要になるのかといった、「制作段階」について説明していきます。
PRイベント企画段階【1~2か月前】
1.イベント企画
イベント実施にあたって、はじめに「5W1H+V(ビジュアル)」で情報整理を行ない、PRイベントを行う目的(メディア露出の最大化⇒情報発信の最大化)を見失わないよう心掛けて、イベント企画の全体(素案)を整理します。
イベントPRでは、大別すると「PR」と「制作」の2つを同時に組み上げていかなければならないため、あれもこれもと考えることが多いです。目的がすり替わり、PRの根幹がブレてしまうことがありますので、道に迷わないようにしましょう。
2.ターゲットメディアとファクトの整理
発表内容と目的を踏まえて、ターゲットとなるメディアを選定し、ファクトが十分かをチェックします。メディアにとってどんな情報が手に入り、どんな画が撮れるか、当日の発表演出についても作り込んでいきます。
3.会場下見と制作物の確認
発表内容、登壇者、演出、想定来場メディア…などを踏まえて、会場の形式や規模を考えます。また、制作物の内容やサイズを整理し、事前に会場へ確認する必要があります。
会場下見では、使用目的(発表会)と制作物の共有を行いつつ、控室までの動線などを意識したアクセス性、音響や照明、椅子やテーブル等の付帯設備をはじめ、バックパネルのサイズ、プロジェクターの規格、また来場者の待機位置を確認します。
企画内容(実施計画)が固まってきたら、より詳細を作り込んでいきましょう。
PRイベント制作段階【2~4週間前】
1.実施計画書(マニュアル)作成
全体概要が分かるマニュアルを作成します。
- 実施概要(イベント名/日時/開場時間/会場/イベント進行内容/登壇者名/参加者)
- 進行構成表(時間/場面/登壇者/内容)
- 全体スケジュール(運営・進行:搬出入/テクニカルリハーサル/登壇者オリエン|登壇者:入退場/メイク着替え/ランスルー/取材時間|PR:受付準備/受付時間/囲み取材/個別取材 等)
- 香盤表(登壇者の詳細なタイムスケジュール)
- 入退場動線
- 登壇時の衣装
- 平面図(会場レイアウト/登壇者控室/関係者控室)
- 立面図(ステージ装飾/スクリーン規格/バックパネルサイズ)・制作物デザイン
- プレスキット(メディア配布資料/ノベルティ 等)
- 体制図(主催/全体統括/実施管理/PR/進行/施工/音響/照明/会場/キャスティング)
- 備品リスト(運営/受付/進行/控室ごとに必要となる備品を整理)
2.演出案作成 ⇒ 台本作成
実施計画書の進行構成表をもとに、台本へ仕上げます。
- 場面ごとの登壇者の台詞
- 立ち位置や登壇降壇の動線
- スクリーン(表示スライドデータ)
- 場面ごとの音響/照明変化
- トークや演出時の追加設営
- フォトセッション情報(登壇者/立ち位置)
- 囲み/個別取材(登壇者/立ち位置)
3.案内状作成・配信~プロモート
メディア誘致を行なうために、案内状とメディアリストを作成し、プロモートを行ないます。
- 案内状
イベント名/日時/開場時間/会場/イベント進行内容/登壇者名/カメラ位置の決め方(例:キー局優先/先着/抽選 等)を記載します。 - プロモート
メディアごとに出席検討するタイミングが異なることを鑑みて、最低でも1~2週間前から案内をする必要があります。
メディアはこの案内状を元に、限られている編集・撮影担当のリソースを裂いて、取材への出欠を検討しています。つまり、どんな画が撮れて、誰に取材できるか、当日早く受付をすれば、好きな場所に席を確保できるのか(先着順)…など、プレスリリースでの事前情報収集が、メディアにとって非常に重要になります。
メディアはイベント同日に複数のイベントから厳選して出席しているため、当日になってメディア受付順を提示したり、変更したりするのは、可能な限りしないようにしましょう。また、当日欠席のメディアに対するイベント当日の画像提供なども事前に検討し、スムーズな進行を心掛けましょう。
PRイベント開催前確認段階【前日】
ここからは、PRイベントの前日~翌日までの流れを解説します。
1.メディア出席集計
メディアへの案内に対する参加メディアを集計し、プレスキットの増減や会場の座席数、音声ラインの調整が必要か確認します。
2.取材要綱作成
メディアをはじめとする招待客に対して、当日のイベントの進行と登壇者の立ち位置が分かる取材要綱を作成し、スムーズな撮影とストレスのない取材観覧を促します。
3.プレスキット最終確認
当日の配布資料やノベルティなどの過不足がないかを確認し、配布するセットをつくり(アッセンブリ)、当日に備えます。
取材要綱は当日の進行に関わる大切なメディア配布資料です。限られたスタッフ人数の中で取材に足を運び、その場で聞いたプレゼンテーションやトーク内容をまとめ切る環境下であるため、事前に情報を提供し、撮影ポイントの把握に協力する姿勢が必要です。
PRイベント開催中の動き【当日】
1.受付~会場誘導
受付では、事前にイベントへの参加申込があったメディアであるかをチェックし、なりすました人物が紛れ込まないようにします。その後、スムーズな進行ができるように座席まで誘導を行ないます。
- 受付
名刺を受け取り、来場者をチェックするとともに、当日の流れを記した取材要綱や当日公開資料、来場者識別ができるプレスパス、お土産を配布します。 - 誘導
座席(カメラ位置)の決め方は、案内状・取材要綱でも記載した条件(例:キー局優先/先着/抽選 等)に基づき、誘導を行ないます。合わせて、登壇者動線についても説明しながら案内することで、着席後の移動が生じるなどの二度手間を省くことができます。
2.ブリーフィング~取材対応
ステージ演目が始まる前に、来場メディアへ対して、円滑なイベント進行とメディアの撮影における障壁を取り除くように説明をします。その後、囲み取材や事後対応を行ないます。
- ブリーフィング
取材要綱に沿って、進行内容や登壇者の立ち位置や動きを説明した後に、照明の変化(ホワイトバランス)や音声ラインを説明と確認を行ないます。 - 取材対応
フォトセッション時の目線誘導による撮影補助、囲み取材におけるスムーズな取材進行と質問へのケアをします。
3.事後対応
当日出席したメディア数や名刺整理、オフィシャル画像素材やイベントレポート(事後レポート)など、来場できなかったメディアへの素材と情報提供を行ないます。
イベントレポートは、前もってひな形を作成しておき、当日記載する部分を可能な限り減らします。ゲストや関係各所への可否確認を円滑に行い、メディアへの情報の提供がなるべく早くできるようにしましょう。
PRイベント開催後の効果測定【翌日】
1.メディア露出
メディア露出を定量・定性的に確認します。確認すべきポイントは、以下の4つです。
- メディア露出件数(元記事と転載記事) ※ブログサイトは除く
- 広告換算額(掲載メディアへの広告出稿を行った際の目安金額)
- メディア論調分析(露出メディアジャンル分析/露出文脈評価/ポジネガ分析)
- キーメディア(掲載の起点となったメディアの分析)
2.SNS分析
ソーシャルリスニングを実施し、SNS上(主にTwiter)での生活者の反響を分析します。SNS分析では、以下の4つのポイントを確認します。
- リーチ数
どのくらいの情報のリーチ(フォロワー数)を獲得できたか - ユーザー属性
反応しているユーザーが、エリア・性別・年齢などどのような属性を持つ人々であるか - 論調分析
ポジティブ/ネガティブ/ニュートラルなど、どのような論調で反響を得ているか - キーマン抽出
情報拡散におけるキッカケとなった人物の抽出
ソーシャルリスニングに関する詳しい解説は、『ソーシャルリスニングとは?基本的な概要と活用シーン』こちらの記事をご覧ください。
3.追加取材対応
イベント内での時間切れや、詳細情報の追加提供、また商品の追加撮影など、追加取材が必要になった場合には、当日以降でも取材対応をします。
PRイベントのゴール
最後にPRイベントのゴール(メディア露出の最大化⇒情報発信の最大化)と結果の照らし合わせを行います。
上記では、「広告換算値」における項目一覧を提示しましたが、KPIに対する効果指標は企業ごとに異なります。効果指標とするものは、費用に対する露出効果の検証を行う「広告換算値」や、生活者にいかに情報が届いたかをSNS上の波及で測定する「ソーシャルリスニング」、またブランドに対する意識変容などをアンケート調査によって行う「ブランドリフト」など様々です。
イベント企画から事後対応までPR会社に依頼する
「イベントPRの目的と種類|イベントPRを成功させる秘訣」でもご紹介しているように、一口に「PRイベント」と言ってもその種類や目的は多岐に渡るため、いま自分の会社に必要なのはどのようなイベントで、何を行えば効果が発揮できるか、企画段階から戦略的に考え込む必要があります。
また企画が出来上がった後も、制作会社の選定やメディアの誘致など、PRイベントの実施には大変な手間と時間がかかります。開催を検討する際には、イベント企画から事後対応までワンストップで依頼できるPR会社を選んで相談してみることをおすすめします。