いま注目のプロダクトプレイスメントという手法をご存じでしょうか。ドラマや映画などの映像作品に、自社の商品やサービスを露出させるもので、皆さんが普段見ている作品にも活用されています。今回は、露出が可能な番組や向いている商材をはじめ、映像作品への露出によるメリット、反響のあった事例など、プロダクトプレイスメントの基本について、株式会社ルームズの石黒章浩さんにインタビューを実施。導入を検討されている方は必読です。
株式会社ルームズ ディビジョンディレクター 石黒 章浩 2008年、株式会社ルームズに入社。PRに従事した経験がないなか、営業部からスタートし、2年目で番組のプロダクトプレイスメントを担当する。徐々に番組側から指名を受けるようになり、メディアとのリレーションを深めたのち、現職のディビジョンディレクターに至る。 |
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いま注目のプロダクトプレイスメントとは?
―はじめに、プロダクトプレイスメントとは、どのような手法なのか教えてください。
一般的に言われているプロダクトプレイスメントとは、テレビドラマや映画などの映像作品のなかに、実在する企業の商品やサービスを露出させる手法を指します。私が入社した当時は「プロダクトプレイスメント」という名称はついていなかったですね。そのように呼ばれ始めたのは、近年のように感じます。
―プロダクトプレイスメントでは、映像作品全般への露出が可能だと拝見しました。ルームズでは、具体的にどのようなメディアへの露出が可能なのでしょうか。
たとえば、民放キー局の連続ドラマは、現在1クールで約37番組あるのですが、ルームズではほぼすべての番組にアプローチすることができます。加えて、NetflixやPrime Videoなどの日本オリジナルコンテンツもほとんどカバーしていますね。あとは、バラエティ番組のセット内の装飾などもフォローアップしているので、その辺りの映像作品は、基本的にプロダクトプレイスメントで露出できると考えていただいてよいと思います。
―私たちがいわゆる「ドラマ」と呼んでいる映像作品には、基本的に露出が可能なのですね。特に、プロダクトプレイスメントに向いている商材はあるのでしょうか。
やはり、役者さんが身につける洋服やアクセサリーなどは、さまざまなパターンを用意するため、露出の可能性が高いですね。もちろん、室内に飾るものや、日常生活で目に留まるようなものも、基本的には露出させることができます。
“広告色”が少なく、ストーリーの一部として認知を高められる
―近年、注目が高まるプロダクトプレイスメントですが、メリットはどのような点になるのでしょうか。
一般生活者の広告に対する感度が高くなったため、少しでも“広告色”のようなものを感じると、飛ばされてしまうということは多いですよね。一方で、プロダクトプレイスメントでの露出だと、ストーリーの中に商材が溶け込んでいる形になるので、飛ばされることはありません。“広告色”を感じることが少ないので、いやらしさのようなものがないという点は大きなメリットだと思います。
また、テレビ離れと言われている昨今ですが、コンテンツのパワーは衰えていません。さまざまな配信コンテンツが普及したことにより、見逃し配信のみならず、同じ作品を何度も繰り返し見ることができるのが当たり前ですよね。何度も見ていくと、より細かいところや、前とは違う所に目が向いてくる機会が増える。そう考えると、映像作品を配信する媒体が増えたこととプロダクトプレイスメントは、とても相性がいいんです。純粋に、視聴者数が増えているということもありますしね。
―露出後は、具体的にどのような反響を呼ぶことが多いのでしょうか。
商材や分野によって、反響の得られ方は異なってくると思います。たとえば、役者さんが身につけるようなアイテムを露出させた場合、著名な役者さんが身につけるだけで注目を集めるので、放送後に「あの女優さんが着ていた服は、どこのブランドだろう?」と検索され、購買につながるケースが多いです。
一方で、室内などに飾るような商材の場合。家具や家電は、「この部屋のインテリアがお洒落だけど、どこの商品だろう?」と、先述した流れで直接購入にいたることもありますが、これが建材(建物を構成する壁紙やガラスなどの材料)などとなると、購入まで結びつくことは難しいと思います。そういった企業の方は、企業認知度を上げたり、営業時に「こんな番組にも露出しています」という売り方をしたりするために、プロダクトプレイスメントを活用されています。
たとえば、いまのクールの番組を見ていなかったとしても、「フジテレビの月9にうちの商材が出ました」と言われると、わかりやすく「すごいな」と感じると思うんです。誰でも知っているものに露出しているすごさというのは衰えないなと感じますし、それをアピールしていけるのは、プロダクトプレイスメントならではのメリットだと思います。なので、直接的な反響だけでなく、露出後にどう活用していただくかが重要ですね。
反響のあったプロダクトプレイスメント事例3選
―特に、反響のあった事例があればお聞きしたいです。
海外反響のあった事例があります。ある連続ドラマでアクセサリーのプロダクトプレイスメントを行ったのですが、このドラマが台湾でも放送されていたんです。すると、台湾で「主役の方のアクセサリーが可愛い」と、そのブランドの台湾本社に問い合わせが来て、その反響を受けた台湾本社から日本に連絡があり、結果的に台湾本社が「この番組のライセンスを取りたい」というような動きにまで発展しました。
また、商品の売上につながったという事例に関しては、正直キリがないのですが、ひとつ挙げるとすると、ある眼鏡ブランドのプロダクトプレイスメントです。こちらも連続ドラマでの露出で、ストーリーの主軸となる演者さんのなかに、眼鏡が必要な役の方がいらっしゃって。そこの枠に、当時はあまり名が知られていなかった眼鏡ブランドを露出しました。その結果、番組の性質上、クレジットでブランドや企業名を出すことができなかったにも関わらず、1,000本の売上につながったんです。その露出をきっかけに色々とお手伝いをさせていただき、今では、皆さんもよくご存じのブランドにまで成長されています。こういった知名度向上の一躍を担うこともありますね。
―飾り物・置物などではどうでしょうか?
ウォーターサーバーですね。今となっては、オフィスにウォーターサーバーが置いてあることは一般的ですが、このきっかけとして、プロダクトプレイスメントがあると思います。というのも、私たちが「オフィスシーンのあるドラマにウォーターサーバーを仕掛ける」という活動をはじめたんです。そこで露出を獲得し、クライアントであるウォーターサーバーの企業が「最近、ドラマなどでもよく見かけると思うのですが、オフィスにウォーターサーバーを置きませんか?」という営業をする。このアプローチの積み重ねが、いまオフィスにウォーターサーバーが普通に置いてあることに、多少なりともつながっていると思います。こうした、いまある当たり前の根底を作り上げるような場面に携わることもありますね。
現場に寄り添った活動がルームズならではのサービス提供に
―ルームズは、プロダクトプレイスメント業界で唯一の代理店ということですが、ルームズならではの強みはどこにあるのでしょうか。
創業当初は、競合他社もいるなか、番組から依頼を受けること自体難しかったそうなのですが、私が入社した時点では、そのベースとなるメディアとのリレーションが既に完成されていて。それこそが、業界のパイオニアと呼ばれる所以だと思います。ルームズでは、あくまでメディアの方の要望を第一にしていて、いわゆる「うちのこの商品を使ってくれませんか」というような営業をしていないんですね。私たちが使って欲しいものを押し付けるのではなく、それぞれの番組の雰囲気やストーリーを読み取って、そこに適した商品・サービスをトータルでコーディネートする。現場の方の要望・意見を汲み、寄り添うというやり方を徹底してきたからこそ、いまのメディアリレーションが築けていると感じます。
また、“私たちはあくまで一緒に番組を作り上げる仲間である”という関係値を活かして、私たちの活動費の部分でしかコストがかからないようになっています。企業側からするとかなりの魅力ではないでしょうか。
―これまで築かれてきたリレーションがあってこそ、ルームズのプロダクトプレイスメントがより魅力的な手法になっているのですね。さいごに、これからプロダクトプレイスメントを検討される皆さまへメッセージをお願いします。
先述したように、メリットは商材によって異なりますが、総じて言えるのは「プロダクトプレイスメントで実績をつくりませんか?」ということです。どれだけ商材がよいものでも、知ってもらわなければ次につながっていきません。私たちのプロダクトプレイスメントでは、知ってもらうためのベースを提供することができます。その露出=実績を活用して、さまざまなネクストアクションにつなげていただきたいです。
また、プラスαのメリットとして、メディア・生活者が求めていることや“温度感”を、私たちと一緒に探ることができます。自分たちの商材のユニークポイントはどこなのか、どう紹介すれば興味を持ってもらえるのかがわかってくる。そして、それを番組のアプローチへと活かすこともできます。プロダクトプレイスメントの過程で得られるものも大きいと思うので、ぜひ一度検討されてみてはいかがでしょうか。
ルームズの詳細はコチラから
https://roomslp.jp/
1997年生まれの道産子。2020年に横浜国立大学を卒業し、株式会社マテリアルに新卒入社。新設のメディアリレーションチームに配属され、約1年間メディアの知識全般を深める。2021年6月より、『PR GENIC』の2代目編集長としてメディア運営を引き継ぎ、記事の執筆や編集業務に従事。新米編集長として、日々奮闘中。