PR会社選びのポイントと効果を最大化する付き合い方

理想的なPRパートナーに巡り合えず、また、見極められずに悩んでいる企業広報担当者は多いのではないでしょうか?結果がアンコントローラブルであるために、成果が見えにくかったり、思い通りの露出を獲得出来なかったりと、企業がPR会社に依頼するシーンでは悩むことが多いのが現状です。本記事では事業主側の視点から、失敗しないPR会社の選び方と、上手な付き合い方について解説します。(解説:田代順)

PR会社に依頼するシーン

PR会社に業務委託している一般企業の数は、全体の30%程度といわれています。まだPR会社に依頼したことがない企業にとって、そもそも「どのような場面でPR会社に依頼すべきかわからない」ということもあるのではないでしょうか?ここでは、PR会社に依頼する2つのシーンをご紹介します。

社内のリソースが足りない場合

一般企業では、専門の実務経験や知識を持つPRパーソンが少ないのが現状です。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(以下日本PR協会)は、2007年より認定資格制度を導入して「PRプランナー」資格を定めていますが、2019年6月現在で資格保持者はわずか2700人程度です。もちろん、資格を持たずとも戦力の中心として活躍しているベテランもいますが、専門家といわれるPRパーソンはまだまだ少ないと言えます。

また営業利益に対する貢献度を可視化しにくい広報部門には、多くの人件費を割り当てられないという企業も多いかもしれません。そのため、即戦力のあるPRパーソンを抱えるPR会社は、企業の頼もしいパートナーになり得ると言えます。

社内のノウハウが足りない場合

PR業務を遂行するためには、社内外との円滑なコミュニケーション能力に加えて、プレスリリース作成に必要な文章力や、メディアリテラシーなど、複合的なノウハウが求められます。さらにプレスリリースの送付先となるメディアのアドレスデータや、報道関係者の連絡先など、PR活動において不可欠な情報なども含まれるため、メディアとの関係を一から築き、データを集めるには莫大な時間と労力が必要です。そこで、メディアとのリレーションを持っているPR会社に依頼をすれば、これらの手間は省くことができるということになります。

PR会社の種類

2019年1月現在、約200社のPR会社が日本PR協会に登録されています。これに、少人数で構成されるPR会社や、フリーランスのPRパーソンを含めると、国内のみでも実に1000社以上のPR専門会社が存在しています。この1000社は、大きく【総合PR会社】【専門PR会社】の2つに分かれます。自社に合ったPR会社を選ぶために、まずはそれぞれの得意領域を把握しましょう。

総合PR会社の強み

総合PR会社の強みは、様々な事業領域に対応できる幅の広さと、経験値の高さです。そのため、商材やテーマに応じて柔軟に対応することができます。

総合PR会社で働くPRパーソンは、異なる業界の案件を複数抱えている場合が多く、何かひとつの領域に対して突出した知識を持っているというよりも、社会情勢や経済情勢、またトレンドなどの幅広い知識を持っている場合が多いです。発注する際には、そのPR会社が、自社が伸ばしたいと思っている領域の実績や知見を持っているか、また臨機応変に対応できる体制やソリューションを持っているかを確認すると良いでしょう。

また案件の領域が広い分、アプローチできるメディアの幅も広いため、何かの専門領域に限定せず、様々なターゲットに対して情報を届けたい際にも有効です。同じ商材でも、テレビ番組とウェブメディアでは情報提供の方法が全く異なるため、そのメディアに適した手段や切り口でアプローチできる知見を持っているかどうかも、総合PR会社を選定するひとつのチェックポイントになります。

<総合PR会社の得意領域例>
・統合的なPRプランの提案
・マーケティングPR×テレビPRなど複数の業務領域を担保
・様々なジャンルのメディアへのアプローチ

専門PR会社の強み

専門PR会社の場合は、何かの専門領域に特化した知見や経験が豊富な人材を抱えています。そのため、メディアリレーションも、特定領域ではより強い人脈を持っている場合が多いです。業界内での認知度を上げたい場合や、PRしたい領域が限定されている場合などでは、抜群の機動力で専門スタッフが期待に応えてくれるでしょう。

専門PR会社は、業界ごとに得意領域を持つ会社と、業務ごとに得意領域を持つ会社の2種類に分別することが出来ます。具体的には、以下の通りです。

<業界別専門PR会社の得意領域例>
・地方自治体、行政、観光事業、街おこしの産業分野
―それぞれの案件で、共通の広報施策を運用しています。
・化粧品、アパレル、アクセサリー小物、シューズの産業分野
―主に女性向けメディアとのリレーションが構築できているのが強みです。PRパーソンも女性中心であることが多いです。
・国産自動車メーカー、輸入自動車メーカー、スポーツブランド、ホテルブランド、食品メーカー、住宅メーカー、不動産、IT関連、医療関連、学校法人などの産業分野
―それぞれの分野に影響力のあるメディア、ジャーナリスト、任意団体、有識者に対して強いパイプと知見があります。
<業務別専門PR会社の得意領域例>
・コーポレートPR
・マーケティングPR
・リスクマネジメントとクライシスPR
・IR(インベスターリレーションズ)
・PR課題の解決や専門家たち精鋭を集めて、コンサルティングに特化した業務

PR会社との契約形態

続いて、PR会社との間にはどのような契約形態があるのか述べたいと思います。

リテナー契約

基本的に年間契約で、PR会社はリソース(人材)の提供、PR業務の請け負い、PR事務局の代行などを担います。月々の支払額は、これらの月次活動費と人権費を合わせて設定します。おおよその目安ですが、営業担当1名、メディアコンタクトなど専任スタッフ2名の場合、60万円程度からが一般的な費用で、これに制作費や移動経費など、状況に応じて実費計上していくことが多いです。

企業にとって、PR会社は年間を通じて公開前の機密情報を預けるパートナーになります。パートナーシップとしての信頼関係を確実に構築していくには、結婚前にお見合い期間を設けるように、正式に発注する前に「お試し期間」を持つことをおススメします。PR会社の担当者のスキルを見極めながら、同じベクトルで取り組んでいけるのか、またコミュニケーションの相性が良いかどうかを確認すると良いでしょう。過去の経験から、はじめの3か月間を試用期間として、見直すべき点と修正すべき点をお互いに確認し合い、納得の上で本契約もしくは年間契約することをお薦めします。

スポット契約

スポット契約の場合は、新製品のプロモーションや期間限定キャンペーンなどのタイミングで、案件ごとに限定して活動を行います。基本的なPR活動に加えて、プレス発表イベントや、オープニングイベント、またSNSを通じた話題喚起や期待感醸成など、その案件に応じてメニューを作成します。プロモーションの瞬間風速を上げたい場合や、注力したいプロジェクトがある際には、企画からの提案を得意とするPR会社に依頼すると良いでしょう。

活動期間は1ヶ月~3ヶ月程度ですが、期間に応じた支払いよりも、活動内容や制作費など、施策に応じて費用が変動する場合が多いです。こちらの場合も、機密保持契約を持つことは言うまでもありません。

パートナーとしてPR会社と上手に付き合う方法

以前までは、PR事業の多くが広告代理店の下請けであり、巨大な広告予算の中から一部をPR予算に当てて、パブリシティー活動に回していました。しかし、現在ではパブリシティー掲載は目標の一部でしかなく、メディアを通じて社会に正しく企業活動を伝えることで、社会との信頼関係を築いていくことが、PR活動のゴールとして掲げられるようになりました。

つまり、理想のPR会社とは、その共通のゴールに向かってPR戦略を打ち立て、いわば企業のブレーンになってもらえるところと言えます。会社の規模やネームバリューよりも、一緒に働くPRパーソンのマインドや、PR活動の豊富な経験と戦略策定力があるかが重要です。

それでは「KPI」「ニュースリリース」「活動報告」の3つの観点から、PR会社と上手く付き合う方法を紹介します。

活動KPIについて

お金を払えば思い通りに掲載できる広告と違い、掲載されるかどうかも定かではないPR活動では、KPIや効果指標の設定が課題になりがちです。実際、この部分で悩みを抱えている担当者は多いのではないでしょうか。

近年のPR活動は、その重要性が見直され、企業のマーケティング戦略にも関わる重要な役割を担うようになってきました。マーケティングPRであれば、ブランドへの好感度向上や製品の売り上げ拡大、市場でのポジション向上なども、PR活動の目標となり得ます。そのため、これまで効果指標として示されてきた露出数値や広告換算値だけでは、その施策の効果をすべて測ることはできませんし、それらはゴール達成のためのほんのひとつの指標でしかありません。

PR活動の効果を最大化し、ビジネスを加速させるためにも、パートナーと同じ活動目標(=KGI)を持っていることが重要です。この共通認識を持つことによって、これから取り組む活動が、目標達成やそのための課題解決に繋がっているか、確認しながら進めることが可能になります。

ニュースリリースについて

PR会社であれば、さまざまなニュースリリース作成を手掛けているため、多くのお手本となる優秀なリリース事例を持っています。しかしニュースリリースは、同じ題材でも10人が書けば10通りのニュースリリースに仕上がるように、その人のセンスや技量が大きく問われる領域です。出来上がったリリースが、第三者でもわかりやすい表現になっているか、またメディアに掲載された時のイメージまで描かれて作られているか、任せきりにしてしまうのではなく、客観的な視点で確認することを怠ってはなりません。

また、PR会社がニュースリリースを作成する際、限られた情報や限られたコンテンツの中で書かざるを得ない場合があります。情報が少なくなればなるほど、リリースの内容は薄いものになってしまうため、企業の担当者はできるだけ多くの情報を渡すことを心がけましょう。

活動報告と報告書について

リテナー契約の場合は、月次で活動報告のミーティングが組まれると思います。しかし、日々の業務活動をお互いに理解し合えていれば、この報告書作成に時間を費やす必要はなくなるはずです。立派な出来栄えの報告書を作るよりも、課題解決のための活動や、新たなアイデアを生み出すための場として、時間を有効活用してもらえるように、相互にコントロールし合うことも大切です。

PR会社を決める際のCHECK POINT

最後に、PR会社を決める際のチェック項目を紹介します。ぜひ参考にしてみて下さい。

<チェック項目>
☐事前の情報開示、ブリーフィングシートの提示ができるか?
☐適切なKPIは設定できるか?
☐期間と予算を明確に提示できるか?
☐候補に挙がったPR会社の強みと弱みを把握しているか?
☐プレゼンテーションの際には、案件にかかわるスタッフが一堂に介すことができるか?
※できれば、PR会社の実務担当者にプレゼンしてもらうことが望ましい。
☐定期的な活動報告が行えるか?報告書のフォーマットより適切な報告内容が読み取れるか?
☐KPIに達しない場合のリカバリーが行えるか?

効果を最大化するPR会社との付き合い方

私がPR会社で営業として活動していた当時は、一人前のPRパーソンになって目標達成まで導けるようになるまで、クライアントとメディアの方々にさまざまなことを教えてもらい、育ててもらいました。双方向の協力関係があったからこそ、同じ目標までたどり着くことができたと思っていますし、当時育てて下さった方々には、今でも感謝しています。

もちろん、PR会社には、メディアへの人脈や、PR活動全般のノウハウ、また会社によっては話題喚起するための企画力もあります。だからと言って、PR活動を任せっきりにしてしまうのではなく、共通の目標と課題意識を持って、二人三脚で目標に向かって取り組んでいく姿勢が大切です。

今後、どれだけAIが進化したとしても、PRで機械任せにできる仕事は何一つないと思っています。「人」が動く仕事なので、多少の失敗はつきものですが、その分、その人にしかできない仕事や、その人にしか任せられない仕事が生まれます。失敗を恐れず、常に挑戦し続けられるポジティブな思考が、PRパートナーとして良好な関係を続けていく秘訣になるのではないでしょうか。

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