いま注目を集める「アンバサダーマーケティング」とは?インフルエンサーとの違いとメリットを徹底解説!

間もなく終わりを告げる平成の30年間は、生活者を取り巻くデバイスやメディアの在り方に様々な変化が起こった時代でした。この変化に伴い、企業側にも新たなプロモーション手法やPR戦略が求められていますが、そんな中新たに登場した「アンバサダーマーケティング」がいま注目を集めています。本記事では、アジャイルメディア・ネットワーク株式会社のセミナー内容をもとに、アンバサダーマーケティングの概念やメリットについて解説します。

アンバサダーマーケティングとは?

はじめにアンバサダーとは、好きな企業やブランドと積極的に関わり、自発的にクチコミ・推奨するファンのことを指します。

一般的にアンバサダーという言葉は「大使」と翻訳され、日本では著名人や芸能人などが、ブランド大使として任命されるときに使われることが多いです。しかしここで言うアンバサダーは、自分の好きな企業やブランドについて積極的な発言や推奨を行うだけでなく、他のユーザーへのサポートやブランドの擁護までを自発的に行うファンのことを意味しています。

つまり、クチコミをされる”場所”ではなくクチコミをする”人”に着眼し、キャンペーンやイベントを通じてこのアンバサダーを増やしていくマーケティング手法を、アンバサダーマーケティングと呼びます。これまで新規顧客獲得への投資が重視されてきましたが、アンバサダーマーケティングでは既存顧客に着目し、ファンの育成と活性化に注力している点が大きな特徴です。

アンバサダーマーケティングが注目される背景

アンバサダーマーケティングの成功事例として、「ネスカフェアンバサダー」が有名になっているように、最近アンバサダーマーケティングが注目を集めています。それではこのアンバサダーマーケティングが注目を集める背景には、いったい何があるのでしょうか?

①情報過多による広告の影響力低下

スマートフォンの普及により、私たちは起きてから寝るまで、ウェブサイトやSNS、メールなどからあらゆる情報に触れ続けています。総務省が発表した情報量に関する調査によると、日本における情報量は毎年のように増加しており、今後も指数関数的に増加していくことが予想されています。またこうした情報過多の中で、広告が生活者に与える影響力も低下してきていることが、以下の調査結果から読み取れます(図1)。

図1:情報量の推移と広告の影響力

②生活者が信用する情報の変化

さらに別の調査結果からは、生活者が信頼している情報源として「知人の推薦」や「クチコミ」が上位にランクインしていることが判明。実際に、クチコミから情報を得るのと広告から情報を得るのとでは、クチコミからのほうが行動(=購入、体験など)に繋がりやすいことがわかっています(図2)。

図2:信頼される情報源と行動喚起度

これらの結果から、企業の情報を生活者に届け、さらに企業やブランドのファンになってもらうためには、情報発信の仕方も創意工夫しなければならないことがわかります。このような情報過多や広告の影響力低下を受け、生活者の行動に直結しやすい「知人の推薦」と「クチコミ」を上手く活用したアンバサダーマーケティングが、新たな情報発信の手法として注目を集めているのです。

アンバサダーとインフルエンサーの違い

企業外の人がSNSを通じて企業やブランドの魅力を発信する手法として、アンバサダーよりも先に普及したものに、インフルエンサーが挙げられます。混合されやすいアンバサダーとインフルエンサーですが、この2つには大きな違いがあります。

①より多くの人に情報を届けるか、確実にファンを増やすか

プロモーションにインフルエンサーを起用する場合、インフルエンサーによって発信された情報がどれだけ拡散され、いかに多くの人に届けられたかが、効果を図るひとつの指標になります。インフルエンサーにも様々な種類があるため、起用する目的や求める成果はそれぞれ異なりますが、フォロワーの数が多く認知度の高い人ほど、より多くの人に情報を届けられることが期待されます。

一方アンバサダーを起用する場合、その情報がどれだけ多くの人に届いたかという「数」ではなく、どれだけ新たなファンを獲得できたかという「質」が求められます。アンバサダーと呼ばれる人は、影響力や情報拡散力に関係なく、好きな企業やブランドのことについて自身のSNSで情報発信します。その情報を受け取った人は、身近な人物による信頼度の高い情報に触れることで、そのブランドを試してみようと思ったり、さらには新たなファンになったりすることが期待されます。

②金銭授受の有無

インフルエンサーとアンバサダーのもうひとつの大きな違いとして、金銭授受の有無が挙げられます。インフルエンサーには、企業やブランドのことについて自身のSNSで投稿してもらうために、そのインフルエンサーの認知度やフォロワー数、また依頼内容に応じて費用を支払いますが、アンバサダーには投稿を強制しない分、費用を支払うこともありません。

もともと企業やブランドが好きで、企業からお金をもらわずとも自発的に情報発信してくれる熱心なファンをとリレーションを築くことで、よりリアルで信憑性のある情報を、費用をかけずに彼らの友人や知人に届けることができます。

アンバサダーマーケティングのメリット

ここまでアンバサダーマーケティングが注目を集める背景や、インフルエンサーマーケティングとの違いを解説してきましたが、この章ではアンバサダーマーケティングを実践する前に知っておきたい、2つのメリットについて解説していきます。

①ファンと直接交流や意見交換ができる

アンバサダーマーケティングのひとつめのメリットは、企業やブランドのファンと直接交流できることです。企業の広報担当やマーケティング担当にとって、生活者と接する機会はなかなかなく、使ってみた感想などを直接聞くことはめったにありません。しかし企業やブランドのファンを、アンバサダーとしてアンバサダーとしてのリレーションを構築しておくことで、簡単に交流イベントを開くことができます。

例えば、アンバサダーに向けて”新商品の企画を一緒に考えるイベント”を開催するとします。このイベントを開催することによって、ふだんファンがどんな思いで商品を使っているか、またどんな商品があったら嬉しいかなど、よりリアルな生活者の声を商品企画に反映することができます。またファンにとっても、好きなブランドの商品企画担当などと直接交流できることは大変嬉しく、自分の声が商品に反映されたりすれば、さらにブランドへの愛着心は深まります。

またこのようなイベントの開催により、ファンの以下の3つの欲求を満たしてあげることもできます。

  1. 成長欲求⇒例:イベントを通じて企業や商品について学び、好きなブランドへの理解が深まる
  2. 承認欲求⇒例:自分が投稿したものが好きなブランドの広告(デジタルサイネージなど)に使用される
  3. 貢献欲求⇒例:商品開発に携わることで、そのブランドの課題解決に繋がる

企業にとっては新たなアイデアを得られる場であり、またファンにとっても欲求が満たされる場であるため、企業とファンのwin-winな関係を築くことができます。

②アンバサダーのデータが蓄積される

アンバサダーになるためには、基本的に所定のサイトなどからアンバサダー登録が必要になるため、誰かが新たに登録すれば、同時にその人の個人情報はひとつのデータとして企業側に届くことになります。これによって、どのアンバサダーが熱心に投稿を行ってくれているか、どのアンバサダーの投稿にいいねがつきやすいか…など、アンバサダーの貢献度や影響力を評価・分類することができます。

こうして蓄積されていくアンバサダーのデータは、マーケティング活動における様々な場面で活かすことができます。例えばサンプリングキャンペーンを行う場合、一般的な企業であれば無作為にサンプリング相手を選定しますが、アンバサダーを抱えている企業では、より貢献度の高いアンバサダーや、丁寧にクチコミを書いてくれるアンバサダーに故意的にサンプリングを配布することができます。そのため、無作為にサンプリングを行う場合よりも、より高い確率で質の高いクチコミを書いてもらえることになります。このように、アンバサダーのデータは企業の新たな財産になるのです。

今後も様々な企業の参入が期待されるアンバサダーマーケティング

間もなく終わりを告げる平成の30年間では、生活者を取り巻くメディアや広告の在り方に様々な変化が起こりました。この変化に伴い、企業側にも新たなプロモーション手法やPR戦略が求められていますが、そんな中登場した「アンバサダーマーケティング」は、情報過多な時代だからこそコミュニケーションの質にこだわって着実にファンを増やしていく、新しいマーケティングの形と言うことができます。

国内アンバサダーマーケティングの先駆者であり、今回アンバサダーマーケティングのセミナーを開催していただいたアジャイルメディア・ネットワーク株式会社は、現在様々な企業のアンバサダーマーケティングを手掛け、アンバサダー管理やデータ分析、またイベント企画など、アンバサダーマーケティング活動全般の支援を行っています。具体的なアンバサダーマーケティングの事例や、アジャイルメディア・ネットワーク株式会社に関する詳しい情報は、こちらの企業ページをご覧ください。

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