株式会社マテリアルでは、「広報業務に関する独自調査」(調査期間:2020年5月27日~2020年7月30日、調査対象:広報PR担当者、有効回答者数:48名)を実施しました。今回は調査結果のうち、「求められる成果」「業務における悩み」「新型コロナウイルスの影響」この3項目に着目しながら、広報PR業務に潜む課題と、今後の広報PR活動において意識すべきポイントについて探っていきます。
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アンケート結果と広報PR担当者が抱える課題
広報PR担当者が社内で求められる成果は「質の良いメディア露出」
アンケートではまず、現在社内で求められている成果をすべて選んでもらいました(Q6)。その回答の結果最も多かったのが、「企業のイメージ向上」で75%、次いで「質のいいメディア露出」と「メディア取材の獲得」で70.8%でした。
続いて、前問(Q6)で選んでもらった成果の中で、最も求められている成果は何か伺うと、「質のいいメディア露出」が20.8%で1位、次いで「企業イメージの向上」が14.6%と、先ほどの結果と逆転する形となりました(Q7)。
広報PR担当者の恒常的な悩みは「予算の少なさ」
広報業務における悩みについては、81.3%が「現在悩みを抱えている」と回答。Q10では、恒常的に存在する悩み(複数選択可)のうち、最も先に解決したい課題を伺った結果、「メディア露出が少ない」「予算が少なく、活動に限界がある」この2つの回答が目立ちました。
どちらの設問でも、「メディア露出が少ない」という悩みに最も数が集まりました。先述のQ7の結果と照らし合わせると、最も難しい課題でありながら、結果を最優先に求められているということが伺えます。日頃からメディア露出の獲得に悩みつつも、解決策が見出せていないということです。
そして注目すべきは2位以下の回答です。Q9では38.5%、Q10では12.8%が「予算が少なく、活動に限界がある」を選択しています。「メディアの露出獲得」は広報業務において重要要素であるため、悩みの上位に上がることは必然的です。しかし、それに引けを取らないほど「予算の少なさ」も多くの広報PR担当者を悩ませている問題として浮上しました。
コロナ禍で改善が必要だと感じた業務は「特になし」
続いて、コロナウイルスが広報業務にどのような影響を及ぼしたかを見ていきます。コロナ禍において、「普段の業務内容に影響が出ていますか」という設問に対し、66.7%が「出ている」と回答しています。
「その影響によって、最も支障をきたした/成果の出にくかった業務」については、33.3%が「メディア取材・メディア露出の獲得」と回答しました。取材現場で密を避けることの難しさや、多くのテレビ番組が新型コロナウイルスに関する情報を扱う傾向にあったことにより、メディア露出に繋がりにくい状況が生まれたようです。
しかし、「コロナ禍において特に改善が必要だと感じた課題」については、ほとんどの方が「特になし」と回答した結果となりました。多くの広報PR担当者が、コロナウイルスによる影響を実感しながらも、突如として訪れた環境の変化を前に、改善の道筋が見えていない、何を改善すべきかわからないという状況になっていることが見て取れます。
なぜ広報PR部門は予算が少ないのか
1-2で先述したように、広報PR担当者は予算の少なさという壁にぶつかっています。もちろん差はあるものの、なぜ多くの企業で、広報業務の予算は少ない傾向にあるのでしょうか?そこには、広報PR担当者が抱える別の2つの課題が大きく関係していました。
課題①社内理解度の低さ
予算の少なさには、広報PR業務への社内理解度の低さが起因しているかもしれません。アンケートの結果でも、「広報業務に対する社内の理解が得られていない」や「広報の社内的地位が低い」という回答が一定数見受けられました。広報という業務そのものの理解度が低い=社内での重要度が低く、予算を割くことができないという状況に陥っているのです。
それではなぜ、広報業務に対する社内の理解が得られないのでしょうか?アンケートを見てみると、「経営層との距離が遠い」、「社内コミュニケーションがとりづらい」を課題視している企業は少ないことが分かります。このことから、経営層や社内の人に広報の重要性をアピールする場があるにも関わらず、うまくその重要性を伝えきれていない現状に原因があると考えられます。
課題②活動の成果や目的が明確化されていない
この“広報業務の重要性”をうまく伝えるには、広報活動の目的や成果を明確化する必要があります。
先述したアンケート結果からも分かるように、広報担当者が今最も社内で求められている成果の多くは、「質の良いメディア露出」でした。しかし、この成果を広報活動のゴールとして考えてはなりません。
広報活動を通じて成し遂げたいゴール=社会の中で形成したい企業のブランドを明確化した上で、それを消費者や生活者に伝える手段のひとつとしてあるのが、メディア露出です。つまり、“メディア露出”はあくまで手段であり、広報活動の目的ではないのです。ここの認識が誤っているため、広報業務の重要性をうまく説明できず、社内理解が得られていない企業も多いのではないでしょうか。
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