1年以内に認知度22%アップ!スタートアップ・ワンキャリア流、短期間で成果を生むウェブCMとは

情報を受け取る手段が増え、さまざまなコンテンツが溢れる現代において、費用を投資してCMを打ったものの、「あまり効果が得られない」「狙った反響がない」とお悩みの企業も多いのではないでしょうか。そんななか、“採用担当者からの認知度が低い”という課題を敢えてオープンにし 、逆手に取ることで、社員が出演するウェブCMで話題となったのが、株式会社ワンキャリアです。今回のウェブCMを打ってからたったの1年以内に、採用担当者の認知度を2倍以上アップ ※1させ、狙った成果・反響を獲得しました。

今回は、CM制作を担当した ワンキャリア コンサルティングセールス事業部 事業戦略室の鈴木維さんにインタビューを実施。反響を呼んだCM制作の背景から、どうすれば効果的なCMを制作することができるのか。特に、認知拡大の課題を抱えることの多いスタートアップ企業において、どのようなポイントを押さえるべきなのか、ワンキャリア流のCM制作におけるポイントについてお伺いしました。

※1:事前調査期間:2022年5月2日~5月5日、事後調査期間:2023年4月13日~4月17日。調査企画:ノバセル株式会社、調査協力:クロス・マーケティング。

「知られてなくて悔しい!」風変わりなウェブCMの誕生背景に迫る

課題も社員もオープンに!魅力や強みではなく“ありのまま”を見せる

ーはじめに、ワンキャリアクラウドCM 第1弾「知られてなくて悔しい!篇」を作成することになった背景について教えてください。

ワンキャリアは、学生が使用する就活サイト『ONE CAREER』を運営する企業です。業界では「最も利用した就職サイトランキングで2位」を獲得するなど、学生からの幅広い認知を獲得できているのですが、一方で、企業からの認知度を調べてみると、20%以下だということが判明。 業界トップのサービスは、学生と企業のどちらからも認知を得られているなかで、私たちにとって、この「学生と企業の認知度の差分」が課題だと感じ、企業の方に知ってもらうために広告を打っていこうという流れになりました。

制作を始める前段で、私たちがどういった企業に認知されていないのかを話し合ったところ、準大手の企業や地方の有名企業が挙がりました。そのような、ワンキャリアが知られていない層の方々へ、認知が広がるようなCMにすることを念頭において、制作が始まりました。

ー今回のCMは、ワンキャリアの課題となった「認知度が低い」という部分を前面に出し、かつ、社員が出演するという、あまり例を見ない内容です。

広告をつくるとなった時に「ここが私たちの強みですよ」という、ストロングポイントを前面に押し出していくようなものが世の中には多いですが、今回のCMでは、機能面に関する言及をほとんどしていません 。ワンキャリアの強みを良く魅せることを考えるよりも、良いものであるからこそ、すべてをオープンにした方が自分たちらしいのではないかと考えたんです。ワンキャリアには、もともと「就職活動というブラックボックスを透明化していこう」という考えがあるので、その影響を受けた側面もありますね。

加えて、世の中のあらゆる情報がオープンになってきて いるいま、「私たちのここがいいですよ」というアプローチは、言えば言うほど怪しまれます 。より良く魅せようとしすぎて、中身が伴っていないというケースも少なくありません。そういった時代背景も含め、課題をオープンにすることが重要だと考えました。社員に出演してもらったのも、会社をオープンにするという意味で、社員のキャラクターや社内の雰囲気が伝わるからです。一石二鳥な内容になったと思っています。

認知度22%アップで2倍以上の成果!低予算で狙った反響を獲得

コンサルティングセールス事業部 事業戦略室 鈴木 維さん

―放送後の反響はどうでしたか?

企業の採用担当者に知ってほしいという部分では、リリースから1年以内に再調査をしたところ、認知度が22%上がり、2倍以上の成果を得られました。また、CMの中で「使ってないと損ですよ」というアプローチをしたことにより、「なぜ損なのか、詳しく話を聞いてみたい」というようなお問い合わせも多くいただきました。

加えて、CM自体には、クライアントをはじめ各方面で反響が寄せられました。なかでも印象的だったのは、ワンキャリアに新卒入社した社員の親御さんからの反響ですね。ワンキャリアは、まだ知名度も低いということもあり、親御さんが不安も持ったまま 、入社を決める新卒社員もいました。その反対を押し切って入社した社員から「親からCMを見たと連絡がありました!」といったコメントをもらったのは嬉しかったですね。他にも、スタートアップコミュニティで「学生向けのイメージはあったが、企業向けサービスであることを再認識できた」「新しい切り口!真似したい!」などのコメントをいただくなど、複数の場所で火が付いたことは、ひとつの成果として良かった点です。

アセット思考のカルチャーから生まれたCM2弾の裏側

インパクト×継続性で新規顧客獲得や川下施策へつなげる

―認知度が向上したという情報を、リリースだけではなく、CM 第2弾「知られて嬉しい!篇」の制作にまで広げられていました。こちらを制作するに至った背景についても教えてください。

見せ方としては、認知度が上がったことによって「知られて嬉しい!篇」でその結果をお伝えするというものでしたが、もともと第2弾はつくり たいと考えていました。というのも、今回のCMのようなインパクトのある制作物は、一過性のものが多いんですね。採用担当者の方が、多大な リソースや費用をかけて利用するサービスを選択する場面において、一度CMを見たからといって、導入に踏み切ることはそこまでありません。CMを一過性のものではなく、継続的なものへ昇華させるにはどうしたらよいか。そんなことを考えながら、第1弾の撮影に臨んでいました。

撮影が進み、「知られてなくて悔しい」ことを伝えるために、社員に悔しがっている表情をしてもらっていた時、全力で悔しがっている顔が、喜怒哀楽のどの表情にも捉えられるように感じたんです。これは、音を変えるだけで、別のパターンのCMになり得るのではないかと、担当していただいていた制作会社さんと話し、本番の中で別のパターンも撮影しておきましょうという流れになりました。

そして、先述したとおり、第1弾のリリースから数か月で認知度が22%アップしていたファクトをもとに、本格的な第2弾の制作を決めました。単なる続編として公開するのではなく、新規顧客の獲得までつながなければ意味がないと感じていたため、「20%あがりました、嬉しいです!」という文脈を活かして、獲得や川下施策までどう落とし込んでいくかというところに重きを置いていましたね。

実際のアウトプットとしては、第1弾の撮影時に撮った別パターンのものを使用し、喜びを伝える流れから、記念のキャンペーンをやっていますという魅せ方になりました。結果的に、第1弾のCMを見て、「なんとなく入っていないと損」と感じた企業の方が、第2弾のキャンペーン告知を見て「入るなら今だ」という意識に変わってくださり、新規の問い合わせをくださったパターンが多かったですね。

フレキシブルな現場対応で、場面に応じた最適な意思決定を実現

―第1弾の撮影中に「次があるかも…」と、急遽別軸の撮影もされたとのことですが、かなりフレキシブルな現場だったのでしょうか。

そうですね。私の中で、広告制作の現場は、綿密に順序立てて考えられているため、あまり融通が利かないイメージがありました。しかし、今回は撮影をしながら「ここはもう少しこのようにした方がいいのではないか」といった具合に、かなり柔軟性を持って進行することができたんです。その場で、続編のために素材を撮影しておこうと意思決定できたこともしかり、このようなフレキシブルなスタイルは、新しいですし、すごくいいなと感じましたね。

また、一過性で終わらせないという観点でいうと、ワンキャリアには、オフラインで展開したものをどうオンラインに昇華するか、またその逆もしかりで、アセット思考のカルチャーが根付いています。CMのようなコンテンツ、ブランド、データ…何に投資するにしても、“アセットになるかどうか”という部分は浸透している思考だと思います。今回は、他のものへと派生する可能性のある新たなアセットとして、「知られていなくて悔しい」というキーワードを見つけた感覚ですね。

―CM 第2弾以外に、派生して生まれた企画などはあるのでしょうか。

HR横丁』です。これは、2023年6月28日~30日に開催された、スタートアップカンファレンス『IVS2023 KYOTO』のなかで実施する「スタートアップキャリアを考える」共同企画です。その中のひとつのコンテンツとして、「知られてなくて悔しい」というキーワードと、スタートアップあるあるでよく言われる「いいサービスをつくっているのに、広告宣伝費に回す資金がないから知られない」という課題を紐づけた、『知られてなくて悔しいピッチ』を実施しました。このような形で別の企画へと派生できたことは、ひとつ良かったポイントだと思います。

スタートアップ認知獲得のひとつの解を目指して。ワンキャリア流CM制作3つのポイント

―今回のCM制作を経て、企業がCMを制作する際に押さえておくべきポイントはどういったところだとお考えですか?

3つあると感じていて、まず1つ目は「誇大広告は通用しない時代であることをしっかり理解する」こと。これまでの広告物は、10のパワーのものを100あるかのように見せて生活者 にアプローチするという手法が主流でしたが、これが通用しない時代だということは色々な場所で言われています。10あるものはきちんと10で見せるというのは、まず押さえるべき点ですね。

2つ目は、「誰目線で作るのかを考える」こと。広告発信者の目線ではなく顧客目線になっているか、採用担当者向けのCMだとしても、どのレイヤーの人や企業にアプローチしたいのか。全部の目線が本質的なものになっているかを考えるのは大切ですね。

今回でいうと「学生に知られているが企業に知られていない」という事実を伝えるために、「東大・京大生の利用率90%」というアプローチをしました。このアプローチについては、「東大・京大生というワードが出た時に『うちには東大・京大生は来ないから』という反応と、『東大生・京大生が全員使っているの?すごい』という反応に分かれると思うが、ワンキャリアとしてどちらを取るか?」という議論をチーム内で事前に行ったんです。このような形で、リアクションを想像しながら、細かい部分まで丁寧に目線合わせをしていくことは大切だと思います。また、表現物の意思決定を通じて、会社としてこれからどんな企業にアタックしていくべきなのかを、本質的に捉えることもできてよかったですね。

3つ目は、「ストレートかつシンプルに伝える」こと。今回だと、「知られてなくて悔しい」「使ってないと損している」の2つしか伝えていなくて。多少、数値的な部分も載せてはいるものの、基本的には「悔しい!」としか言っていないんです。情報に溢れているこの時代において、受け手の記憶に残るのはワンメッセージ程度。そのため、CMにおいては、本当に伝えたいワンメッセージ+1くらいの心持ちで考えることが大切だと思います。

―さいごに、今後の展望について教えてください。

前提として、企業に対してコミュニケーションを取ったり、認知を広げたりすることはかなり難しく、ここに課題を感じている 企業さんも多いと思います。そのひとつの成功例・解として、今回の企画が浸透していくような動きができるといいですね。続編を制作するのか、違うものを作るのかはまったく決まっていないですが、今回の企画で発見できた「オープンマインドですべてさらけ出していく」というポイントを活かしながら、“ワンキャリアを知ることで絶対に得をする企業さんをどのように探していくのか”を模索していきたいです。

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