PR担当者が理解しておきたいPRの役割とPR活動について

PR担当に任命されたけれど、何から始めれば良いかわからない。そもそもPRが何をする仕事なのかよくわからない…。本記事ではそんな悩みを抱えるPR担当者に向けて、PR活動の基礎知識から、PR担当者が心構えておくべきポイントまで、幅広くご紹介します。

PRの役割とは

PRとは、『PRとは?広報・宣伝・広告との違い』の記事で詳しく解説しているように、ステークホルダーと呼ばれる人々に対して企業や商品などをよく知ってもらい、良好な関係を築くためのコミュニケーションのことを指します。

似た言葉に「広報」や「宣伝」がありますが、これらはPRとは少し目的が異なります。広報は従業員や株主、生活者などに企業の活動内容を認知・理解してもらうための活動になり、宣伝は企業が提供する商品やサービスを一般に広く認知させ、購買意欲を高めさせるための活動を指します。

図1:宣伝とPRの違い

PR担当者の主な業務内容

PR担当者の業務内容は企業によって異なりますが、一般的に以下のようなものが挙げられます。

社内活動

  • 活動報告
  • 経営方針、事業戦略の通達
  • 社内の情報収集
  • 社内報などの作成

社外活動

  • プレスリリースの作成、配信
  • 取材対応、原稿チェック
  • 説明資料の作成、配布
  • 会社説明会などのイベント運営
  • 問い合わせ、クレーム対応

このように業務内容は多岐に渡り、企業の経営戦略やブランディングなど、重要な部分にも関わるのがPR担当者の仕事です。企業を世の中にどう見せ、社会とどのように関わっていくか、まさに企業とステークホルダーが良好な関係を築くためのコミュニケーション活動全般を指していることがわかります。

PR担当者が心構えておきたい「価値あるニュースの3条件」とは

先述したように、PR担当者の主な仕事に「プレスリリースの作成、配信」が挙げられます。しかしメディアの元には、1年間で約4万通もの電子メールが届いていると言われており、そのうちの3分の2以上がなんと企業からのプレスリリースです。

これだけ多くのプレスリリースがメディアに届くと、なかなか記事化してもらえないのも無理がありません。さらにメディアの多様化により、記者に届く情報の量だけでなく、生活者に届く情報の量も膨大になっています。

図2:膨大な情報を受け取る生活者

このように一方的な情報発信では生活者に響かず、メディアにすら取り上げてもらえないのが、昨今のPR活動の現状です。メディアに取り上げてもらい、生活者まで情報を届けるためには、記載する内容がメディアにとって取り上げる価値があり、生活者にとっても知る価値がある情報でなければなりません。以下ではPR担当者が心構えておきたい、メディアに取り上げられるための条件と、情報価値についてご紹介します。

条件1: 新しい情報であること

新しい情報であることとは、簡単に言うと「初めて」「変化」「驚き」がある情報です。

「日本初」や「世界最小」等といった情報はニュース価値が高く、メディアでも取り上げられやすい条件の1つです。

図3:ニュース価値の高い『F,M,O』

条件2: 事実であること

2つ目に「事実であること」とは、具体的な事象や客観的なデータが基づいており、その情報に信頼感があることです。

プレスリリースでは広告と異なり、自己主張の激しい文章や誇張表現は好まれません。第三者目線に立った際に、その情報に信憑性があるかどうかは、メディアに取り上げられる上で非常に重要な要素になってきます。朝の情報番組などで取り上げられる情報に信頼感があるのも、番組の編集者が選りすぐりの信頼できる情報しか取り上げていないためです。

条件3: 社会的な意義があること

3つ目に「社会的な意義があること」とは、世の中や読者・視聴者にとって必要な情報であることです。

たとえば、どんなに強力な虫よけスプレーを開発したとしても、それを冬に取り上げるメディアはほとんどありません。メディアは、なぜ今この情報を発信するのか、また今どんな情報を発信すると読者・視聴者にとって有意義なのか、を常に考えているため、メディアに提供する情報も、時節や社会性に合っている必要があります。

PR活動は、自社と生活者の双方への理解がカギ

一般的に、何か情報を発信(アウトプット)する際には、その10倍のインプットが必要だと言われています。プレスリリースを発行する際も同じで、PR担当者は誰よりも商品やサービスのことを理解した上で、情報発信を行わなければなりません。

しかし自社の商品やサービスの特徴をただ羅列しただけの情報は、メディアとその先にいる生活者にとって何の価値もありません。作成したプレスリリースの内容が、先述した「価値あるニュースの3条件」に当てはまっているか、プレスリリース配信を行う前に一度確認しましょう。

図4:企業が伝えたい情報とメディアにとって価値ある情報のギャップ。 広報担当者はこのギャップを埋める必要がある。

また自社の商品やサービスへの理解を深める際に、事業部の人々と密にコミュニケーションを取ることも、PRを成功させるカギとなります。

よく「事業部の方にこうするように言われたので」と事業部の言いなりになってしまっているPR担当者がいますが、事業部の人々が発信して欲しいと思う情報は、あくまで第一人者目線の情報でしかありません。PR担当になったからには、自社が発信したい情報だけでなく、メディアや生活者にとって必要な情報を発信する必要があります。これはメディアの特性を掴んだ上で行わなければならない作業になります。非常に手間と時間がかかる作業ですが、それぞれの媒体に適した情報提供を行うことが、情報露出への最大の近道となります。

広い視野を持って、PR活動を

ただやみくもにプレスリリースを作成しても、徒労に終わってしまいます。自社の商品やサービスをメディアに取り上げてもらい、生活者まで情報を届けるためには、生活者のことはもちろん、メディアと自社、さらには市場のポジションまで熟知した上で、情報発信を行うことを目指しましょう。

プレスリリースの組み立て方に関する情報は、『プレスリリースの構成と組み立て方』こちらの記事をご覧ください。

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