日々、サステナビリティな情報に触れているメディアやフリーライターの方々へインタビューを行う連載『メディアと読み解くサステナビリティトピックス』。第14回目は、フリーランス/編集者の尾上満里奈さんにお話を伺いました。
フリーランス/編集者 尾上 満里奈 新卒で規格外野菜のフードロス問題に取り組むタベモノガタリ株式会社に入社し、野菜の集荷や搬入、販売、広報を担当。並行してブログ『おひとりさまアジア生活』を運営する。退職後、本格的にライター活動をスタートさせ、2021年にフリーライターとして独立。現在は、ビジネスやサステナブルにまつわる取材、採用広報のコンテンツ制作、旅行コラムの執筆などを手がける。 |
尾上さんの取材・執筆時のポイント
読者像を具体的にイメージした状態で情報発信をする
サステナビリティに関する情報はここ数年で急激に増え、単語としては認知している人が多い一方で、「エネルギー」や「飢餓」と聞いても、多くの人は日本からは遠い国の話と思ってしまうのではないかと思います。そのため、記事を執筆する際は、読者像を詳細に定めて、具体的にイメージするようにしていますね。どんなスケジュールで一日を過ごしているのか、家族構成、趣味など、生活レベルまで読者像を定めて、「その人に対してどんな認知・行動をしてもらいたいのか」の解像度を上げるイメージです。メディアとして広く読者層を設定している場合もありますが、記事ごとに誰に向けたものなのかを明確にし、記事を積み重ねることで、サステナビリティへの認知や理解度が段階的に高まっていくように意識しています。
尾上さん注目のサステナビリティトピックス
韓国の体験型施設
いま、韓国で増えてきているアート・音楽を体験できる体験型施設に注目しています。ブランドの世界観を体験できるかっこいい場でありながら、ビーガンやラベルレス、測り売りなどのSDGsにつながるアクションが盛り込まれていて、生活者が「気がついたらSDGsに貢献していた」という状態になっている点が素晴らしいと思います。また、施設内のスポットや商品の説明文は、来た人がおもわず読みたくなるようにデザインされていて、説明文を読んで理解してもらうまでの導線の設計ができている点もいいなと思っています。説明の仕方ひとつとっても、アウトプットをいかに美しいものにするか追求する、美意識が現れている施設です。
尾上さんの気になった企業の取り組み
『マザーハウス(MOTHERHOUSE) 』
“途上国から世界に通用するブランドをつくる”を理念に、バッグ、ジュエリー、アパレルを製造・販売する『マザーハウス(MOTHERHOUSE)』。商品の見た目がおしゃれで美しいだけでなく、何回でも修理して長年使える点が素晴らしいと思っています。また、生産から販売まで一気通貫しているからこそ、ストーリーもしっかり伝えられていて「情報の透明性」が高い点も注目しています。
ブランドを知ったきっかけは、街を歩いていて、いいカバンだなと思って気になったことで、ブランドのストーリーを店員さんが丁寧に伝えてくれる姿勢に胸を打たれました。その姿勢がどの店舗でも共通しており、「どんな場面でも生活者に伝わるように務める企業文化」を感じ取ることができます。そうしたコミュニケーションがあることで、「いい素材、いい職人さんがいるからこそ、この価格は当たり前だよな」と納得することができます。「情報の透明性と価格の納得性」を伝えることが重要なサステナビリティの活動において、モデルケースとなる企業だと考えており注目しています。
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・日々新しい知識が求められる建築営業。自分にしかできない営業を模索する信和建設 営業部とは
・ビジネスの場でも、自分の言葉で語る。書評家の三宅香帆さんに聞く、好きを言語化して仕事に生かすヒント
・メッセージは簡単に見えないからこそ意義がある / SKGロゴデザインの視点「上野村森林文化館 mori+」
マテリアルグループ株式会社 Eagleリーダー
2017年4月マテリアルに入社。プロデューサーとして日用品メーカー・ホテル・大手外食チェーン・スタートアップなど多種多様なブランドを50社以上支援。2021年9月からマテリアルグループのCD本部マーケティンググループに移り、コーポレートブランディングとサステナビリティプロジェクト・Eagleのリーダーを務めている。