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“目的が明確な社内報”の存在が組織を良くする
社内報アワードを受賞する企業の共通点
-ウィズワークスさんが主催されている『社内報アワード』の概要について教えてください。
社内報アワードは、2002年に「NOMAプレスサービス」として一般社団法人日本経営協会が始めました。その後、事業の休止を受けて「全国社内報企画コンペティション」の名称にてウィズワークスが社内報コンクールの事業を継承し、2016年より「社内報アワード」と改称して今に至ります。昨年からは授賞式もオンライン実施に移行しています。
この社内報アワードを開催する目的は大きく二つあります。一つ目は、受賞した企業のナレッジを共有することで、社内報に関わる人たちのスキルを底上げし、社内報業界を盛り上げること。二つ目は、賞を設けてランキングで発表することにより、社内報担当者のモチベーションアップに貢献することです。
-これまでに社内報アワードで受賞した企業には、どのような特徴がありましたか?
受賞企業に共通しているのは、「何のためにこの企画を考えたのか?」というのが明確になっていることです。
ある金属メーカーさんは、M&A後に各社の風土が障壁となって、うまく融合できていないという課題を抱えていました。実際に行ったアンケート調査で、「自分の会社を他者に紹介したいと思える」と回答した社員がたったの5%しかいなかったほど深刻でした。そこで同社の社内報担当者は、社風を良くしなければ業績も落ちると考え、このアンケート結果や社員の生の声を社内報で公開したんです。その結果、社員の方々は「この会社は信頼できる」と感じたらしく、そこから具体的に現状課題を解決するためのプロジェクトも立ち上がっていきました。
この企画の良かったところは、目の前の課題から目を背けず真正面から向き合い、会社をよくするためにどうしたらいいかを、社員を巻き込みながら考えたことです。反対に良くない企画の例は、会社からの通達事項を伝えるだけのもの。そうならないためにも、企画の意図が明確であることが大切ですし、社員の態度変容まで促せる施策は素晴らしいと思います。
社内報の必要性に会社の規模は関係ない
-社内報担当者が抱えている課題はどういったものが多いですか?
大手企業の場合は、社内広報専門のチームが社内報を担当していることもありますが、多くの場合は専任スタッフがおらず、社外広報や人事の方が兼任して担当しています。そのため、相手が社員であることからどうしても他の業務よりも優先度が下がってしまい、なかなか社内報づくりに注力できないなどの課題が多いです。また、社内に作り方や取材方法を教えてくれる人がいなかったり、社内報の重要性を理解してもらえなかったりすることもあるため、特にひとりで社内報を担当しているような方は、こういった悩みも抱えています。
そこで我々は、社内報づくりで悩みを抱えている方々に向けて、「社内報ナビ」というウェブメディアの運営を行っています。意識して注力しなければ、おざなりになってしまいがちな社内広報ですが、これまで説明してきたように実は重要な役割を担っています。だから、社内広報担当の方には、自分たちの仕事に誇りを持っていただきたいですし、社内に社内報づくりのノウハウや理解者がいない場合でも、このメディアを参考に前向き取り組んで下さる方が増えて欲しいと思います。
-これから社内報づくりに取り組む企業に向けて、何かアドバイス等があれば教えてください。
一番初めにやるべきことは、「社内報づくりに取り組む目的の整理」です。自社のライフイベントで起こっていることや、生じている組織課題は何かを把握し、自社のインターナルコミュニケーションのミッションを定めることで、社内報の目的が明確になります。そうすれば、上長への説得も容易になりますし、きちんと年間でコンテンツを定めての運営が可能になるため、企画も組み立てやすくなります。
最近では、経営企画室が社内報を動かすような会社も増えています。M&Aの前後などは特に、経営者側から社員に伝えなければならないことが多くなるため、経営戦略の一環としても、インターナルコミュニケーションを強化しているところが増えていますよ。
インターナルコミュニケーションプロデューサーという価値を広める
-さいごに、社内報アワードなどの取り組みを通じて、今後成し遂げていきたいことやチャレンジしたいことがあれば教えてください。
社内報アワードでは、今年から作品ではなく人を表彰するための新部門として、「インターナルコミュニケーションプロデューサー部門」を設けました。これは、社内報制作に取り組む人の活動内容や、その人が乗り越えた壁など、インターナルコミュニケーションのプロセス自体を評価するためのもので、担当者のモチベーションに寄与させたいと考えています。
また、あくまで社内報は情報伝達ツールの一つです。このコロナという非常事態を迎えて、よりインターナルコミュニケーションの重要性は高まっているため、今後は「インターナルコミュニケーションプロデューサー」という価値を広めていきたいです。
\社内報アワード2021エントリー募集中!/ 今年で第20回を迎える「社内報アワード2021」は、2021年4月23日(金)(※緊急事態宣言の二度の延長に伴い、応募締切も延長)までエントリーを募集しています。詳細は下記URLよりご確認ください。 ⇒https://wis-works.jp/award/application/ |
浪木 克文(なみき かつふみ)
ウィズワークス株式会社 社内報総合研究所所長
福岡県出身1990年リクルート入社。人材部門の組織長として継続して高業績を上げる組織を実現。九州支社長として支社マネジメントも行う。その後、株式会社ゼロイン取締役社長、株式会社リンクイベントプロデュース取締役を経て2016年より現職。インターナルコミュニケーション分野においての課題解決が得意。NHK『おはよう日本』BSフジ『小山薫堂 東京会議』J-WAVE『STEP ONE』出演。経済広報センター主催セミナーほか講師多数。月刊広報・月刊総務ほか、各種新聞・雑誌・Webメディアにて社内報/インターナルコミュニケーションに関する取材・寄稿多数。趣味はボルダリング、糠漬け、田舎の民泊。
1995年生まれ大阪育ち。2018年同志社大学卒業後、株式会社マテリアルに新卒入社。1年目でウェブメディア『PR GENIC』を立ち上げ、記事の執筆と編集全般や、セミナーの企画など、コンテンツ作りを幅広く担当。半年間ハウスメーカーのマーケティング部への出向も経験。現在はオープンイノベーション支援に従事しつつ、外部アドバイザーとして編集のサポートを行っている。
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