無名の町工場→月間来場2,000人の人気企業へ。全員広報を実現する島田電機製作所の“ファンづくり活動”

『OSEBA』に月2,000人の来場!社外広報3つの効果とは

押すをテーマにした遊び空間『OSEBA』


—貴社は昨今、さまざまなメディアに取り上げられていますが、社外広報はいつから力を入れ始めたのでしょうか。

2018年からです。当時、テレビ出演をきっかけに、メディア露出の効果を体感。より多くの方に島田電機製作所を知っていただくべく、社外広報にも力を入れるようになりました。当社の広報活動では、取材獲得数を絶対視していません。ただ、メディアに取材していただけるということは、当社が社会や時代のニーズをしっかり捉えた事業活動とファンづくり活動をおこなえている証拠ですから、ひとつのバロメーターになっています。

広報活動で強く意識していることがあるとすれば、世の中の課題を的確に捉え、それに対して当社にできることを考えるということでしょうか。最近、当社の代名詞になってきている「1000のボタン」も、実は工場見学に来てくださった幼い子どもの保護者から聞いた「子どもがエレベーターのボタンを押したがり、離れない」という話を聞いたことが製作・設置のきっかけでした。結果として、「1000のボタン」は、製作背景も含めて多くの方に共感していただき、SNSでも大きな話題となりました。広報活動では、テクニックだけでなく、自社の想いを形にして社会に届けることも大切なのだと思います。

『OSEBA』内にある「1000のボタン」


—社外広報の成果についてはいかがでしょうか。

大きく3つの成果が挙げられます。1つ目が、当社の考え方や取り組み内容を深く知りたいと言ってくださる方が増えたことです。2023年頃から、ファンづくりや組織開発に関する講演依頼が増加。多くのご要望に応えるために、2025年年4月からは、工場見学のコースとして「組織づくり勉強会」というものを新たに設置することになりました。

2つ目は、事業と採用活動への効果です。私たちの想いに共感して仕事を依頼してくださるお客さまが増えたほか、採用活動でもカルチャーに共感した候補者が集まるようになりました。特に、新卒採用に関しては、これまで人材紹介会社に依頼をしなければ採用候補者が集まらなかったのですが、今では完全自社採用でその年に計画した人数を採用することができています。当社への想いを、自由な形式で表現してもらい、その作品を面接時に持ってきていただくという、「ラブレター採用」も、カルチャーフィットした人材と出会うのに大きな役割を果たしていると感じます。

「ラブレター採用」で持ち寄られた実際の作品(一部)


3つ目が、業界関係者ではない一般の方々にも、当社の存在を知っていただけたことです。社内の一角にある、2024年オープンの『OSEBA』という「押す」をテーマにした遊び空間には、水曜日を除く平日4日間の開館にもかかわらず、毎月平均で2,000名の方が訪れています。社外広報を始めた頃には想像もできなかったことが、この数年で実現できるようになってきており、あらためて「ファンづくり」の力を実感しています。

まずは経営者との対話を。BtoB中小企業のロールモデルを目指して

—ここまでお話を伺ってきて、貴社の取り組みは一つひとつが自社の価値観と結びつき、一貫性を持っていることに驚きました。施策を企画・実行する上での秘訣があれば教えてください。

ブランディングや広報PR、ファンづくりにおいて、要となるのはやはり経営者だと思います。経営者が自社のビジョンをどう描き、組織をどのようにしていきたいのか。その想いを一つひとつ拾い集めることでしか、施策に一貫性を持たせることはできません。当社がこれまで紹介してきたような施策を展開しているのも、ひとえに代表の島田正孝が「現場のメンバーが毎日を楽しく幸せに生きられること」を大切にしたいと考えているからです。

他社の新任広報の方から、「まずはどんな施策を打つべきか」といった質問をいただくことも多いのですが、私は毎回、「まずは経営者とコミュニケーションをとってほしい」ということを伝えています。経営者と何度も話し合いを重ね、どのような戦略を描き、その中でなぜ広報PRやブランディング、ファンづくりが必要となるのかを、経営者と広報担当者の双方で腹落ちさせることが何よりも重要です。それができてこそ、広報担当として経営目線を持った施策の企画が可能となりますし、経営者も社内に広報目線を持って発信をしてくれるようになるので、施策の一貫性が徐々に高まってくるのだと思います。

島田社長自ら講師となる「島田塾」


—小倉さんも、日頃から島田代表と密なコミュニケーションをとっていらっしゃるのですか?

そうですね。私は入社以来、ずっと社長直下で広報担当として仕事をしてきました。島田が出席する会議や会食などにも同席し、日々言葉を交わす中で、少しずつ島田の考え方やマインドが自分の中に浸透してきていると感じます。島田の考え方がまったく分からない状態では、きっと今回の取材でも私が会社を代表してお話することは難しかったと思います。 

—さいごに、今後の展望をお聞かせください。

当社は、ファンづくり活動を、島田電機製作所の知名度を上げるということだけでなく、「日本の働き手のエンゲージメント向上に貢献する活動」へと成長させていきたいと考えています。当社が大切にする「人中心経営」を世の中に発信することで、より多くの企業が魅力的な組織づくりをおこない、多くの働き手が「この会社に貢献したい」と心から思えるような社会を実現できたら素敵ですよね。特に、BtoBの中小企業において、当社がロールモデルのひとつとなれるように、今後も引き続きファンづくり活動に力を注いでいきたいと思います。

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