メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|牧田 英子

日々、サステナビリティな情報に触れているメディアやフリーライターの方々へインタビューを行う連載『メディアと読み解くサステナビリティトピックス』。第13回目は、『WWDJAPAN』副編集長の牧田英子さんにお話を伺いました。

『WWDJAPAN』副編集長 牧田 英子
大手アパレルメーカー、編集プロダクション、繊維の専門紙などを経て、2011年にINFASパブリケーションズに入社。それまではファッション業界に従事し、知識のないビューティ業界に足を踏み入れ早10年。今ではすっかりビューティの世界に魅了されている。入社以来、国内メーカー、オーガニック・ナチュラル分野を担当。
株式会社マテリアル ブランドプロデューサー/Eagleメンバー 黒瀬 和美
2014年に新卒採⽤で株式会社マテリアルに⼊社。⼊社以降、AEとしてナショナルクライアントだけではなく、地⽅の企業や⾃治体案件までジャンルや業種を問わず幅広いクライアントを担当。現代社会が抱えるSDGsの様々な問題に対してZ世代が⾃発的に⾏動できる仕組みを共に作り上げていくプロジェクト『SDGzプロジェクト』と⽴ち上げにも携わる。また、マテリアルのサステナビリティプロジェクト・Eagleのメンバーとしても活動を⾏う。趣味はサウナ。

牧田さんの取材・執筆時のポイント
①安易に「サステナブル」と言わず、何がサステナブルなのかを内容で示す
『WWDJAPAN』は、国内・海外の最新ファッション&ビューティ・トレンドをはじめ、業界ニュースをいち早くお届けする媒体です。紙面とウェブで展開していて、紙面の『WWDJAPAN』『WWDBEAUTY』は、BtoBメディアとしてファッション&ビューティ業界の方をメインターゲットに、ファッションに関する専門性の高い情報を提供しています。ウェブメディア『WWD JAPAN.com』は、BtoB&Cメディアとして、業界の方々だけでなく幅広い層への情報発信力、影響力を強化しています。

ファッション&ビューティ業界の「サステナブル」に関して、取材・執筆する際には、安易に「サステナブル」と言葉を使用せず、何がサステナブルなのかを内容で示しています。ただ、説明調で真面目に報じすぎると、押し付けがましく、読み手が嫌悪感を抱いてしまうこともあるので、そのバランスを見ながら編集することを心がけています。

②読者・生活者から直接、情報や感覚をキャッチアップする
『WWDBEAUTY』で毎年5月末に実施するサステナブルビューティ特集があります。2023年5月29日号の『特集 Z世代が企業に求める「サステナビリティ」の今』では、Z世代の皆さんがどんな意識で生活しているのか、どんな考えでモノを購入しているのかを直接取材したいと思い、Z世代と座談会形式で会話を重ねました。『Z世代』というと、一般的に「サステナビリティへの関心が高い」という印象を持たれていますが、座談会では、「取り組んでいる人もいるけど、自分の場合は物を買う時は価格重視です」「サステナビリティへの関心が高いというイメージは、メディアが作った幻想です」というコメントもあり、そこで得た情報や感覚をもとに、本特集を組みました。

牧田さん注目のサステナビリティトピックス
「ビューティ業界の廃棄問題」
ファッション業界は、環境に配慮した繊維素材の開発・普及や、サプライチェーン改革などの取り組みが進んでいるのに比べて、ビューティ業界は、ブラックボックスになっている部分が多くあることを実感しています。以前、大手化粧品メーカーOGによる覆面座談会を実施したことがあるのですが、各メーカーの方々は、「使用期限を迎えた化粧品は、中身をは捨てるしかありません容器も洗浄が必要で、ガラスやアルミ、プラスチックなどさまざまな素材のパーツを組み合わせたものが多く、リサイクルを難しくしています。」とリサイクルの難しさを吐露していました。その上で、「中身は正規品と比べても遜色なく、外箱や容器にちょっとした傷がついている訳あり品などは、商品として売るのにまったく問題がないため、アウトレットなどでもっと販売されてもいいのでは。箱がちょっとつぶれているだけで不良品とみなす生活者の感覚も変えていかなければいけないと思います。大手メーカーが一斉に呼び掛けたら一気に変わるような気がしますけどね。」といった意見もありました。

牧田さんの気になった企業の取り組み
「花王とコーセーの協業」
花王とコーセーは、2021年から化粧品事業のサステナビリティ領域において包括的な協働をスタートさせています。化粧品プラスチックボトル水平リサイクルの取り組みや、両社の研究所における品質追求・品質管理の過程で最終的に商品にならなかったメイクアップ化粧品を水性ボールペン『スミンクアートペン』にアップサイクルする取り組みを行っています。先程お伝えしたビューティ業界の廃棄問題に対するアプローチとして、一社の取り組みだけでなく、こうした企業間の協業による取り組みが増えていくことを期待しています。


\牧田さんの執筆記事・担当コンテンツはこちら/
執筆記事一覧

関連記事

  1. メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|山内 萌斗

  2. メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|尾上 満里奈

  3. メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|竹田 有里

  4. メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|高阪 のぞみ/湯田…

  5. メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|竹山 栄太郎

  6. カルビーが実施する『目覚める仕送り』。朝食習慣をサポートするサービスと…

  7. メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|いからし ひろき

  8. メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|戸沼 君香

RECOMMEND

人気記事 最新記事

ARCHIVE