ソーシャルリスニングをツイッターで実践!専用ツールを使わない簡単な実践方法とは?

スマホとインターネットの普及により、情報過多と言われるようになった昨今、生活者のリアルな声を聞くことが出来るソーシャルリスニングは、様々なシーンで活用できるマーケティング手法として注目を集めています。前編『ソーシャルリスニングとは?基本的な概要と活用シーン』では、ソーシャルリスニングの概念と、代表的な活用シーンについて解説しましたが、後編ではより具体的に、ソーシャルリスニングの実践方法を解説していきます。

ソーシャルリスニングの方法

ソーシャルリスニングの概念と活用シーンについて理解したところで、実際の活用方法について解説していきます。

ソーシャルリスニングはTwitter中心に行う

主要なSNSとして、Twitter/Instagram/Facebookの3つがあげられますが、ソーシャルリスニングをする際にオススメなのはTwitterです。その理由は大きく6つあります。

図1:ソーシャルリスニングにおけるTwitterの利点

上記(図1)の特徴から、Twitterが消費者のリアクションが最もわかりやすいSNSであると言えます。

ソーシャルリスニング(以下より、Twitterにおけるツイートを想定)は、専用のツールを使用することで参考となるツイートを効率良く見つけることができますが、必ずしもツールを使う必要はありません。誰もが持っているTwitterアカウントの検索窓を駆使して、生活者のリアクションを拾い上げることが可能です。

例えば、
『「製品A」についてどう思われているか』
を知りたい時に、Twitterの検索窓に
『製品A』
と入れることで、“製品A”に対するクチコミが出現します。

ただ、『製品A』とTwitterの検索窓に入力しただけでは、ECサイト情報などといったノイズ(=消費者の反応と関係のないツイート)が多く発生することがあります。このノイズを排除して、より生活者の反応を洗い出すポイントは、生活者の“感情”を製品名とともに検索窓に入力することです。これによって、製品Aに関する生活者のニーズやインサイトを見つけやすくなります。

入力例としては、

  • “製品A ほしい”  = 興味がある人の気持ちを分析する
  • “製品A 買いたい” = 購入を検討している人の気持ちを分析する
  • “製品A ダサい”  = ネガティブな感情を持つ要因を分析する
  • “製品A www”    = 製品が笑われている理由を分析する

などが挙げられます。

図2:検索ワード設定のポイント

また、検索コマンド※2を指定することで、期間やいいね数、リツート数などを絞り込むこともできます。検索コマンドを駆使することにより、効率的にソーシャルリスニングすることができます。
※2 検索コマンド一例:「since:年-月-日」「min_faves:数字」「min_retweets:数字」など

検索ワード次第で、様々なインサイトを発見できる

他にも、製品やサービス名を直接Twitterの検索窓に入力するのではなく、製品やサービスが属しているカテゴリーに対する「消費者の価値観」を見ることも、テクニックの1つです。

例えば、
『ログハウスを購入する人の理由』
が知りたい時にソーシャルリスニングで探索する際、ログハウスを持っている人はそう多くないと考えられるため、『ログハウスを購入する理由』に関するツイートは少ないと予測することが出来ます。

そこで、検索ワードを

  • “家 ほしい”
  • “家 買いたい”
  • “一軒家 住みたい”
  • “一軒家 マンション”

などに変更することで、生活者の“家”に対する価値観が浮かび上がり、『ログハウスを買う人の理由が知りたい』というオーダーに対して、なんらかの示唆を持てる可能性があります。

ソーシャルリスリングの良し悪しの判断

ソーシャルリスニングを実施した際、そのソーシャルリスニングの結果が効果指標として使えるものかどうかを、どういった基準や指標で見るべきか解説します。

大前提として、仮説を持ってソーシャルリスニングを行うことが大切

いわゆる「仮説検証型」と「仮説探索型」という2つの考え方がある中で、ソーシャルリスニングは「仮説検証型」の思考プロセスで使用することがふさわしいです。具体的には以下のようなものです。

  • 「こういったクチコミが存在するのではないか」といった仮説を立て、そのクチコミを探す
  • 「こういった価値観があるのではないか」といった仮説を立て、その価値観に関するクチコミを探す
  • 「こういったジャンルの人たちが話題にしているのではないか」といった仮説を立て、そのジャンルの人たちのクチコミを分析する

上記のように仮説ありきでソーシャルリスニングを行えば、その結果が良かったかどうかの判断が容易くなります。

一方「仮説探索型」の思考プロセスでソーシャルリスニングを活用すると、「何か面白いクチコミや興味深いクチコミはないだろうか。そこから、企画に関するなんらかの仮説を立てよう」という使い方になるため、そのクチコミの良し悪しで判断することは難しく、事実を知るに留まります。

リサーチを行う前にどんな結果が出るか仮説を立て、答え合わせを行う感覚でソーシャルリスニングを活用しましょう。

ソーシャルリスリングを実施する上での注意点

ソーシャルリスニングを実施する上で、気を付けるべきポイントをご紹介します。

ソーシャルリスニングだけで答えを決め付けない

図3:ソーシャルリスニングの正しい活用方法

ソーシャルリスニングは、生活者のニーズやインサイトを見出すための手法の1つです。ソーシャルリスニングのみに頼らず、オープンデータとして公表されている数値や、友人や家族の協力のもと直接的なヒアリングを行うなど、様々な手段を組み合わせることをオススメします。生活者の反応やインサイトは、あらゆる視点から複合的に判断しなければなりません。

鍵付きアカウントがあることも念頭に入れておく

Twitterにおいて、約3割のアカウントが鍵付きアカウントであると言われています(2016年発表 Twitter APIを使用したデータより)。

ソーシャルリスニングは、SNS上の全ての声を拾い切れるわけではありません。鍵付きアカウントで、より過激な発言や本音のコミュニケーションを交わしている人もいます。繰り返しになりますが、ソーシャルリスニングのみに頼るのではなく、友人や家族等に実際にインタビューするなど、可能な限り生の声も集めましょう。

さいごに

ソーシャルリスニングに関して、理解は深まったでしょうか。ソーシャルリスニングは、多くの消費者の声を可視化することで、消費者のニーズやインサイトを知ることができるため、製品開発やサービス向上、プロモーションの企画など様々なシーンに応用できます。

膨大なクチコミ量を見る必要があるため、ときに時間がかかり、なんらかの示唆を出すまでに苦労することもありますが、慣れれば強力な武器になります。ソーシャルリスニングをマスターし、ぜひ自社のマーケティング・プロモーション戦略等に応用してみてください。

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