TikTokからトレンドが生まれる2つの理由。若年向けSNSマーケティングの注意点とポイントに迫る

移り変わりの激しい若者トレンドの中心に位置付いているSNS。数年前から、企業が若者に対してアプローチするためのツールとしても、もはや欠かせない存在になっています。しかし、中には使い方を誤ってしまい、企業のイメージダウンや炎上などに繋がるケースも少なくありません。

今回は、若者コンサルティングをコンセプトに、Z世代を対象としたマーケティング支援を行う、株式会社ネオレア代表の朝比奈 ひかり(戎 光璃)さんにインタビュー。近年の若者トレンドの変遷から、SNSの中で特に存在感のあるTikTokについて深堀り、企業が若年層に向けたSNSマーケティングを行う際のポイントについてお伺いしました。

株式会社ネオレア 代表 朝比奈 ひかり(戎 光璃)
高校1年生でファッション団体の代表を務めたことを皮切りに、「女子高生カメラマン」や「10代マーケター」としての活動を始める。その後、アプリやファッションブランドの立ち上げ、インフルエンサーマーケティングなど、さまざまな経験を積み、大学3年生 の2019年に株式会社ネオレアを設立。今年で4期目を迎える。春より、慶應義塾大学 大学院に進学し、経営を学ぶ。

若者コンサルを行うネオレアがみる若年層トレンドの傾向

5年の間に30社で働いた経験から生まれた株式会社ネオレア

―はじめに、どのような経緯でネオレアを立ち上げられたのか、お聞かせください。

大学1年生の頃、カメラマンの仕事でインフルエンサーの方に会う機会が多かったことがきっかけで、「インフルエンサーに会えるイベント」を開催したんです。月に1回開いたこのイベントは、9か月間で約2,500万円ほどの売上を達成。その時に、成功の要因として「若い子たちの気持ちが分かっていたこと」があるのではと考え、大学3年生の時に5年の間に30社で働いた経験をもとに、若者コンサルをサービスとした株式会社ネオレアを立ち上げました。現在は約11社と協業して若年層向けサービスの企画作成やマーケティングに携わっています。

強すぎる韓国トレンドと新しく生まれた“日常の映え”

―ネオレアを立ち上げ、若者に関するさまざまな情報や調査リリースなどを発信されています。近年の若年層トレンドの傾向について教えてください。

韓国トレンドが強すぎるというのが、1番の所感です。皆さんもご存じの通り、韓国アイドルからグルメ、ドラマなど、さまざまなコンテンツが流行っていますよね。エリアとしても、原宿より新大久保が若者の中ではメインになっていると思います。ただ、この韓国トレンドが長すぎるなと感じているんですね。

今から約10年ほどさかのぼって考えると、当時流行っていたのは、One Directionやテイラー・スウィフトなどの欧米文化、その後流行ったのが、少女時代やKARAなどの韓国文化、そして、藤田ニコルさんなどをはじめとした日本文化。というように、ある程度の期間でサイクルが回っていたんです。ただ、その後に来た韓国トレンドがなかなか終わらず、今に続いているという感触ですね。なので、「日本の中でどの国の文化が流行るか」というサイクルはありつつ、韓国トレンドの終わりはまだ見えていない現状です。

―コロナ禍での変化などはありましたか?

これまでは“非日常の映え”がトレンドでしたが、“日常の映え”にシフトしたと感じます。ナイトプールやリムジンパーティーを行っていたのが、インテリアや暮らしの中での映えの発信に変化したという流れですね。

若者の中でSNS一強のTikTokを紐解く

TikTokはトレンドを定着させる強いSNSツール

―若年層トレンドとSNSには密接な関係があると思いますが、朝比奈さんはその点についてどのようにお考えでしょうか。

まさに、若者のトレンドはSNS、特にTikTokから生まれているなと感じています。たとえば、曲のトレンドでいうと、これまではミュージックステーションを見てどんな曲が流行っているのか、どんな新曲が出たのかを知っていたと思うんです。しかし、現在は「TikTokでよく聞くからこの曲が流行っているんだ」という捉え方をしたり、瑛人さんやYOASOBIさんなどのTikTokで流行った曲が国民的に流行るといった現象が起きたりしています。

なので、TikTokから生まれたトレンドが定着してから、テレビなどで紹介されるという流れがベースになったかなと思いますね。もう少し厳密に言うと、テレビで紹介されるのは、若者トレンドの中でもかなり上位のものだけなんです。私たちがトレンドだと認識するのは、そのもっと下位のものも入っているので、そういった意味では、一般的にトレンドと捉えられているものは、少し認識の差が生じているかもしれないですね。

―それでは、若者の中でのSNSのツールとしては、TikTokが一強ということでしょうか?

そうですね。これまでは、YouTubeやInstagram、TwitterなどさまざまなSNSが台頭してきましたが、定着するトレンドを生み出すツールとしては、TikTokが強いと感じています。たとえば、Twitterでバズったとしても、それはかなり一時的なもので、賞味期限がとても短いと思います。「Twitterで見かけたこのコスメを買おう」という行動は起こせても、その行動を定着させることは難しいと思うんですね。そういった意味で、TikTokは定着するトレンドも生み出している、強いSNSツールだと感じています。

なぜTikTokは若者に選ばれるのか?

TikTokの影響力を改めて感じました。トレンドだけではなく、全体的な情報収集のツールとしてはどのように使われているのでしょうか?

たとえば、友達と行く飲食店や、旅行先で巡る観光地など、TikTokから情報を仕入れている子が大半を占めています。テキストや画像よりもリアルが伝わってきたり、短時間で手に入れられる情報が多いことが理由だと思いますね。これがYouTubeの10分動画だと、また違ってくると思うんです。もし仮に面白くないなと感じても、1スワイプで次の動画に切り替わりますし、「どれにしようかな?」と情報の取捨選択をする時間がないというのも、TikTokならではですね。

―ここまでTikTokが若者に受け入れられている理由やポイントは、どこにあるとお考えですか?

ひとつ挙げられるのは、“脳みそが溶けていても認識できる情報の解像度”です。これは、ボーっとしながら動画を見ていても、15秒程度の時間で全ての情報が認識できる作りになっているということなんですね。たとえば、飲食店の紹介動画だと、商品の見た目や値段だけではなく、お店の雰囲気や立地、そして感想までがひとつにまとまっています。これが、TikTokが選ばれる大きな理由だと思います。

他のSNSとの比較だと、操作が少ないことも大きなポイントです。Twitterだと、文字を追い、多くて4枚ある画像を開いてスクロールして…という操作が入りますし、Instagramだと写真のスクロールに加え、詳細を読むためには投稿文を開いて文字を追うという流れになりますよね。その点、TikTokは上下のスワイプで動画として勝手に情報が入ってくるので、他のSNSと比べてよりストレスフリーに使えることが、若者に支持される要因のひとつになっているのではないでしょうか。

若年層向けSNSマーケティングの勘所とネオレアの挑戦

若者は「#PR」に敏感。刺さる投稿のハードルは上がっている

―それでは、今後企業が若者に向けたSNSマーケティングを行う際に、ポイントとなる部分はどこでしょうか。

ポイントは2つあります。まず1つ目は、インフルエンサーマーケティングにおける「#PR」の使い方です。企業の方が思っているより「#PR」への意識は敏感だと思うので、若者に刺さる投稿のハードルは上がっていますね。最悪、依頼をしたインフルエンサーさんのイメージダウンや、ファン離れに繋がる可能性もあるので、「#PR」を付けて投稿することは前提として、ただ「#PRを付けた投稿をお願いします」という依頼は行うべきではないと思います。

一案ですが、ある一定の期間商品やサービスを使用してもらって、インフルエンサーさんの言葉でオススメしてもらったり、PRの案件ではあるけれど、「皆さんを騙したいわけではないんです」という、フォロワーさんときちんと向き合う姿勢が伝わるような投稿にしたりすることが大切だと思います。そのためには、しっかりと依頼する方とお話して、お互いの意図や理解を深めることが重要ですね。

次に2つ目は、SNSの企業アカウントを運営する際に、“中の人感”を出すのを意識することです。1番わかりやすい例は、TwitterのSHARPさんのアカウントです。企業アカウントでありながら、企業の中のいち社員のような人格が見える。そういった点が、生活者とのコミュニケーションを生み、発信する情報を受け取られやすくしているのだと思います。ただ、顔を出すと生活者それぞれが抱いているイメージが崩れてしまう場合があるので、注意が必要ですね。

―企業アカウントでいうと、TikTokでは社長や幹部の方が踊っている動画がかなり増えてきたなと感じます。あのジャンルの動画が好評なのは、なぜなのでしょうか?

かなり流行りましたよね。横浜のタクシー会社・三和交通さんがまさにこの取り組みをされていましたが、TikTokでの発信後、新卒採用数が大幅に増加したそうです。この取り組みは、「社長なのに踊るんだ」というギャップや意外性が愛されるポイントなのではないかと思いますね。

ネオレアが若者コンサルを行う際に意識しているポイントとは?

―ネオレアで若者コンサルを行う際には、どのようなポイントを意識されているのでしょうか。

ネオレアでは、若者コンサルティングをコンセプトに、Z世代を対象としたマーケティング支援を行っており、若者のニーズを満たしたよりよいサービス提供に繋げるため、以下のような働きかけをしています。

やはり、若年層消費者とのミスマッチをなくすために、若者のリアルで等身大のインサイトをお教えすることがより良いコミュニケーションに繋がると考えているので、このようなコンサルティングをメインに活動しています。

具体的なサービスとしては、2軸あります。ひとつは、若年層向けサービスの企画・コンサルティング全般や、Instagram・Twitterを中心としたSNS運用などの「若者目線で私たちができること」。もうひとつは、ヒアリングやアンケート調査の若年層集客や、若年層のことをより知ってもらうための社内講演会、若年層に関する情報発信などの「若者の情報を活かして私たちができること」です。最近だと、特に社内講演会のご依頼が増えていますね。

自らの等身大の想いを事業やサービスにつなげていく

―さいごに、今後挑戦していきたいことなどがあれば教えてください。

私が若者向けのマーケティングを始めた理由は、自分が50歳になった時にも、同じ50歳の方に向けたサービスを提供したかったからなんです。同じ年代で、自分の等身大の想いや考えが当てはまる人に向けたサービスをずっとやりたいと思っています。実は、若者トレンドにすごく興味があるというよりは、その時の自分の立場で、純粋に好きなことや疑問に思うこと、意見をビジネスとして社会に発信してインパクトを与えたいんです。

なので、まだ構想ですが、これからは働く女性を応援するための、コワーキングスペースや保育園などの施設が作れたら面白いなと考えています。また、個人的な興味の延長で、高級ネイルサービスや飲食店経営などにも挑戦できたらいいなと思いますね。総じて、女性の悩みを解決したり、日々のワクワク、楽しみを生み出したりするようなサービスが提供できるといいなと思うので、今の事業にとどまらずに挑戦し続けていきたいです。

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