withコロナの若者マーケティングのカギは「量より質」。若者のリアルな実態から探るニューノーマル

私たちの日常生活に、様々な変化を与えている新型コロナウイルス。その影響は、新たなトレンドを生みだしていく“若者世代”にまで及んでいます。外出自粛期間を経て、若い世代に起こった変化を知ることは、これからのマーケティングやコミュニケーション戦略を考えていくうえで大切なことではないでしょうか。

昨年大反響だったセミナー、『【Spark! × 若者トレンド最先端 SHIBUYA109 lab.】次世代ファンのつくり方を語らナイト(レポートはこちら)』から約1年、先月の6月9日に『自粛期間を経てaround20の生活はどう変わる?』と題して行われたSHIBUYA109 lab.主催のセミナーでは、新型コロナウイルスによる影響を受けた、若者のリアルな現状が伝えられました。本記事ではイベントの様子をご紹介し、若者のニューノーマルについて考察していきます。

around20流“おうち時間”の過ごし方

若者トレンドを研究するSHIBUYA109 lab.

今回のセミナーには、株式会社SHIBUYA109エンタテインメント(以下109E)が運営するSHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣氏が登壇しました。

SHIBUYA109 lab.は、2018年5月に設立されたマーケティング機関であり、SHIBUYA109のターゲット世代である、around20(15~24歳)のリアルなトレンドを調査しています。活動は大きく2つに分かれ、1つ目は調査で得た若者に関するデータを、109Eが運営する各施設のリーシングやプロモーションなどに活用するマーケティング活動。2つ目は、外部企業に向けての勉強会や調査のサポート活動です。

毎月200人の若者を調査し、館内ヒアリングやグループインタビューを通してリアルな声を集めているSHIBUYA109 lab.ですが、新型コロナウイルス(以下新型コロナ)感染拡大による自粛期間中は、オンラインインタビューやWEBアンケートを利用して調査を実施していました。

4つに分類される“おうち時間”過ごし方の特徴

自宅で過ごすことを余儀なくされた自粛期間中は、“おうち時間”という言葉が流行しました。around20は、この“おうち時間”をどのように過ごしたのでしょうか。

19人の高校生・大学生を対象に、日記形式で自粛期間中の「1日の過ごし方」を記録してもらった調査結果から、男女で過ごし方に差があることが明らかになりました。女子は高校生・大学生にかかわらず、お菓子作りやオンラインゲーム、ヲタ活など複数のことに取り組んでいた一方、男子はひとつのことに集中して取り組む傾向が見られたのです。

また、167人のaround20を対象にしたWEBアンケートによると、おうち時間の過ごし方は大きく4つの特徴に分けられることがわかりました。

  1. クリエイティブ
    日記調査でもあがったように、若者はお菓子やヲタグッズ、アクセサリーなど、“何かを作ること”に熱中していました。普段は時間がなくてできなかったことも、まとまった時間がある自粛期間中に楽しんでいたようです。お菓子作りの流行とともに、「#おうちカフェ」というハッシュタグも流行りました。
  2. 自分磨き
    大人世代でもスキンケアとボディケアの需要が高まっている中、若者は“メイクの練習”に取り組んでいたそうです。また、外見を磨くことに加えて、資格の勉強や読書など、内面を磨くことにも人気がありました。
  3. 動画視聴
    自粛期間以前から、若者が1番時間を費やしているのが“動画視聴”です。それがさらに加速し、無料公開のLIVE映像やドラマ・映画など、これまで観ようと思って観ていなかったコンテンツを楽しんでいたようです。
  4. 運動
    普段から外出が多かった若者にとって、自粛期間中は運動不足だと感じることが多かったそうです。そのため、ランニングや散歩をする人が増えたといいます。さらに、自宅でできるエクササイズ動画をみて運動をするというのも人気でした。

増えるオンラインコミュニケーションとツールの使い分け

Zoomなどのツールを利用し「オンライン飲み」が話題になったことにみられるように、自粛期間中はオンラインで人と繋がることに注目が集まりました。“誰かと繋がりたい”感情はaround20の若者たちも同様。しかし、デジタルネイティブな若者たちは、複数のツールを使い分けてオンラインコミュニケーションをとっていたようです。

around20が主に使用するオンラインコミュニケーションツールは、LINE、Zoom、Instagramの3つです。それぞれの使い分けをみていきましょう。

  1. LINE
    高校生がメインで利用するツールです。チャット機能はもちろんですが、おうち時間ではビデオ機能が頻繁に使われていました。最近では画面共有やゲームなど、機能が増えたこともあり人気です。普段から頻繁に会話をするような、仲の良い友達とのコミュニケーション用に使われていました。
  2. Zoom
    学校のオンライン授業に使われることも多く、主に大学生に人気でした。人狼ゲームやお絵描き、背景画像交換など遊び機能が充実しており、オンライン飲み会に使用されることが多かったようです。”すっぴん部屋着”を見せられるような、気の知れた仲の良い友達とのコミュニケーションに使用されました。
  3. Instagram
    「インスタライブ」というライブ配信機能が話題になりました。若者は芸能人の配信を見るだけでなく、友達と一緒に自分たちが配信を楽しんでいたそうです。基本的にフォロワー向けの配信になるので、メイクをしっかりして、外向けのコミュニケーションをするために使われました。

このように、デジタルネイティブのaround20たちは、友達との関係値によってツールを選び、距離感を調節しながらコミュニケーションを楽しんでいました。

外出自粛で変化した生活と行動

外出自粛要請によって、around20の生活にも大きな変化がありました。学校の休校やアルバイト先の休業にはじまり、3~4月に行われるはずだったイベントの中止や部活動の休止など、多くの活動制限が起こりました。そんな新しい生活の中で、具体的にどのようなことが変わったのでしょうか。

オンライン利用の加速

「普段と比べて増えたことは?」という質問に対し、回答率57.5%と1番多かったのは「SNSの閲覧」でした。2位以下も、サブスクリプションを利用した動画視聴やオンラインゲームなど、オンラインを利用する時間が増えたという結果に。また、WEB調査での「おうち時間で取り組んだことは?」という質問には、過去の写真の投稿やSNSで調べたお菓子を作るなど、半数以上の回答にオンラインとの繋がりがみられました。

自粛明けを見越した消費行動の変化

おうち時間中のオンライン利用増加とともに、通販の利用頻度が増えた若者も多いようです。64.5%が服やアクセサリーなどのファッションアイテムを購入したと答えましたが、実は購入平均金額(月額)は自粛前とさほど変わっていないという結果が出ました。収入の減少による買い控えはあるものの、自粛明けを見越して夏のアイテムを購入していたのです。自粛明けの外出に対するモチベーションが高いという調査結果からも、withコロナの生活を考慮した慎重な消費が今回の重要なポイントといえます。

外出自粛で生まれた新しい価値観

緊急事態宣言が解除され、自粛中と比べると外出できる機会も増えてきました。 しかしまだまだ油断はできません。そんなwithコロナの世界で、around20の意識はどのように変化していくのでしょうか?

1.ファッション・メイクに対する意識
2.おでかけに対する意識
3.ファッションアイテムのお買い物に対する意識

グループインタビューを通じて、上記の3つの軸からaround20の中に生まれた新しい価値観が見えてきました。

量より質が問われるファッション、内からキレイに思考のメイク

これまでのaround20は、たくさん外にでかけ、色んなテイストのファッションを楽しむために、“多くの安い服(プチプラ)を買いたい”という意識が強くありました。しかし現在は、外出の頻度が減ったことで、ちょっとしたおでかけにも”お気に入りの一着を着ていきたい”という思いが強くなっているそうです。

中でも、「ワンシーズンしか着れない安い服を買っていたが、少し高い服も買うようになった。」「セールでたくさん買うのではなく、お気に入りの一着をちゃんと買いたい。」といった声が目立ったことから、若者のファッションに対する価値観が、今までの「質より量」重視から、「量より質」重視へとシフトしていくことが予想されます。

また、メイクに対する意識にも変化が生まれています。もともとスキンケアよりもメイクへの意識が高かったaround20ですが、自粛によりメイクをする機会が減少し、スキンケアに力を入れるようになりました。withコロナの世界でも、コスメに対する消費意欲はあまり変化しないものの、「内からキレイに思考」が加速され、スキンケアにお金をかける若者が増えるかもしれないとのことです。

目的が明確化されたおでかけ

around20のこれまでのおでかけは、目的を特に決めずに商業施設を回ったり、食べ歩きをしたりして遊ぶのが主流でした。しかし、外出自粛の影響で外に出ることに抵抗を感じたり、3密を避けることを意識したりと、緊急事態宣言が解除された今も慎重な行動が続いています。

このように、around20の間でも「むやみな外出を減らしたい!」という意識が強くなっている今、計画を立てて目的を明確化した外出を意識する若者が増えているとのこと。これからの街や商業施設は、より”おでかけ計画”に入るための工夫が必要になるかもしれません。

買い物はオンラインで得られる情報の充実化に期待

自粛中は外に出られないため、通販を利用して買い物をする若者が増加しました。しかし、「買い物を失敗したくない」という思いから、withコロナの世界でも来店意欲は変わらないと予想されています。

そんな中、今後変化が起こりそうなのが「購入方法」です。実際にグループインタビューの中でも、「お店で実物を見たいけど、衛生的にも買うのは通販でいいかも」という声があがっており、これからは店舗で試着をしてから通販で購入するといったように、リアルとネットを掛け合わせた買い物が主流になっていくかもしれません。計画的なおでかけや買い物を促進するためにも、企業側にはオンラインで得られる情報の更なる充実化が求められそうです。

around20が語るリアルなwithコロナのセカイ

第二部では、現役高校生・大学生の計5名が登壇し、自粛期間中の過ごし方や自粛前後で起こった変化について、リアルな声を聞かせてくれました。

自粛中一番時間をかけたことは?

ここで最も多かった答えが、「自分磨き」です。中でもスキンケアやダイエット、読書など、心身ともに内面を磨く「内からキレイに思考」が高まっていることが分かりました。スキンケア商品は、Twitterのコスメアカウントを見たり、Instagramのハッシュタグ検索をしたりして、情報を集めているそうです。

また「学校の宿題に時間をかけた。」という声に対し、どのように勉強をしているのか問うと、「友達と電話を繋げたり、アプリで勉強時間を共有したりしている。」と回答が返ってきました。高校生にとって、学校で一緒に授業を受けることが出来ない環境下では、離れていても一緒に勉強している気分になれる要素が重要視されているようです。

自粛中改めて気づいたことは?

ネットショッピングの便利さに気づき、「これからは通販を主流に買い物をする」という声もあがりました。最近では、Instagramのストーリーから通販を利用する若者も増えているそうです。

そんな中、反対に「不便の良さ」に気づいたという声も。インターネットを使って友達とすぐに会話できるコミュニケーションよりも、オシャレをして、電車に乗って、直接会うことの魅力を再確認できたとのことでした。実際に別のグループインタビューでも、「オンライン飲み会を自粛後も続けたいか?」という問いに対し、「温度感が分かりにくいのでもう使わないと思われる。」「会話にラグがあるのでコミュニケーションがとりにくい」といった声があがったそうです。

自粛中変わったこと・これからも変わらないことは?

また、「自粛前が満足度100だとしたら今はいくつ?」という問いに対し、一番高い人で90、低い人で30と答えました。これからのwithコロナの世界では、総じて100に戻すために、変わることと変わらないことをうまく扱って生活していくと考えられます。

これからの若者マーケティングを抑えるカギは「量より質」

新型コロナによる自粛期間を経て、around20の価値観にも大きな変化が起きていることが分かりました。そんなwithコロナの世界で、若者マーケティングのカギとなる言葉が、「量より質」です。少し高くても買いたいお気に入りの服、こだわって選んだスキンケア用品、計画的で目的がしっかりしたおでかけ。今後は、今まで以上にひとつひとつの行動にこだわり、“本当に望んだもの”だけを買う若者が増えていくと考えられます。

また同時に、「失敗したくない」という思いから、購入前にネットで口コミを調べたり、実物が見られない通販に不満を感じたりと、いつも以上に買い物に慎重になっている姿も見られました。デジタルネイティブ世代であり、失敗したくない意識がより強い若者のためにも、企業側はオンラインで得られる情報の充実化や、販売チャネル間の連携強化に力を入れる必要があるでしょう。そうすることで、今後若者世代を中心に、リアルとネットをうまく掛け合わせた“新たな購買のカタチ”が、広がっていくかもしれません。

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