SNSの普及に伴い、新たな職業としても確立された「インフルエンサー」。今や多くの企業が、商品やサービスのプロモーションにインフルエンサーを起用していますが、そもそもインフルエンサーとはどのような人のことを指し、どうすればその影響力を上手く活用することができるのでしょうか?本記事では、いまさら聞けないインフルエンサーの基本的概念から、SNSごとの特徴、またマーケティングに活用する際のポイントまでご紹介します。※2020/12/25更新
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インフルエンサーとは何者なのか
インフルエンサーとは、一般的に「世間に与える影響力が大きい行動を行う人物のこと」や「購買中心点にあって組織の購買意思決定に影響を与える人のこと」と定義されています。(コトバンク参照)最近では、ほぼ同じ意味を持つマーケティング用語として、KOL(=Key Opinion Leader)という言葉も使われるようになりました。
SNSの普及により、誰もが簡単に情報を受発信できるようになった今、生活者の購買意思決定に対して影響力を与えるのは有名人だけではありません。自らの好きな分野や得意分野に特化したSNSアカウントを保有し、一定数のファンを抱え、その人々に対して影響力を持つ一般の人は多く存在しています。
また、インフルエンサーと聞くと、「インスタグラマー=Instagram」が連想されやすい傾向にありますが、「YouTuber」など全てのSNS上で活躍する人を総称してインフルエンサーと呼ぶことができます。そのような人々が持つ影響力を用いて、商品やサービスのプロモーションを行うのが「インフルエンサーマーケティング」です。
インフルエンサーの種類
テレビなどのメディアに出演する有名人だけでなく、自らのSNSアカウントで活躍する一般人が増えたことにより、主にフォロワーの数に基づいて、インフルエンサーの中でも大きく4つの階級に分けられるようになりました。それぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。
①トップインフルエンサー
トップインフルエンサーは、100万人以上の圧倒的フォロワー数を抱える人のことを指します。普段テレビで目にするような芸能人や有名アーティストがここに該当し、多くの人々に対して強い影響力を持ちます。誰しもが一度は無意識のうちに好きな芸能人の影響を受けて物を買ったり、お店へ足を運んだり、音楽を聞いたりした経験があるのではないでしょうか。
②ミドルインフルエンサー
ミドルインフルエンサーは、およそ10万~100万人程度のフォロワーを抱える人のことを指します。芸能人ほどの知名度は持たないものの、特定ジャンルにおいて支持を獲得しているミドルインフルエンサーは、ファンに対する大きな影響力を持ちます。また、アンバサダーとして起用している企業も少なくありません。
③マイクロインフルエンサー
マイクロインフルエンサーは、およそ1万~10万人程度のフォロワーを抱える人のことを指します。一般人まで含まれるマイクロインフルエンサーは、情報のリーチ力は劣るものの、特定の分野(例:“乾燥肌向け”の美容情報など)に特化した投稿を行っている場合が多く、フォロワー層が明確です。深く狭い影響力を持つことが期待できるため、特定のターゲットに情報を届けたい場合には十分に有効であると言えます。また、生活者との距離が近い存在であるため、「芸能人が発信する情報よりも信用できる」として、より生活者の購買動機に繋がりやすい傾向もあります。
④ナノインフルエンサー
インフルエンサーの卵とも呼ばれるナノインフルエンサーは、およそ数千人~1万人程度のフォロワーを抱える人のことを指します。情報を広く拡散することよりも、年齢層や職業、また住む地域など、狙いを定めた情報発信に向いています。また、ナノインフルエンサーは、トップインフルエンサーやマイクロインフルエンサーよりもリーチ数が少ない一方で、投稿に対する「いいね!」の数など、フォロワーのアクティブ率が最も高いことが特徴です。一人ひとりに与える影響力が大きいインフルエンサーとして、近年特に注目を集めています。
SNS別インフルエンサー活用方法
上述の通り、インフルエンサーは大きく4つの階級にわけられますが、「インスタグラマー」や「YouTuber」という呼び名があるように、インフルエンサーごとにメインで活躍しているSNSは異なります。それに加えて、SNSごとに情報の広がり方にも違いがあるため、インフルエンサーを起用したマーケティングを行う際には、適切なプラットフォームを選択しなければなりません。ここでは、「Instagram」「Twitter」「YouTube」「TikTok」の特徴と、それぞれどのような目的に適しているかをご紹介します。
Instagramでインフルエンサーを活用する場合
Instagramは、写真をメインとしたビジュアル重視のプラットフォームであり、企業やブランドの世界観を伝えることに適しています。そのため、デザイン性を訴求したい商材や、写真映えするスポットのプロモーションに使われることが多く、インフルエンサーマーケティングの元祖と言っても過言ではありません。投稿から直接アクセスできる「ショッピング機能」も持ち合わせているため、購買までの導線もスムーズです。
また、2016年から「保存機能」が加わり、気に入った投稿を後から簡単に見返せるようになったことで、Instagramは雑誌に代わる立ち位置を確立しつつあります。中でも、HOW TO系の動画や使用レポなどの“お役立ち情報”は保存されやすく、インフルエンサーの影響力を測る指標として、今は投稿に対する「いいね数」のほか、「エンゲージメント率」や「保存数」も重視されるようになっています。
Twitterでインフルエンサーを活用する場合
Twitterは文章・写真・動画の全てが載せられるだけでなく、引用リツイートやリプライの機能があるため、最も「会話」が生まれやすいプラットフォームと言えます。有益な情報や面白い投稿は、投稿者のフォロワー数に関係なく拡散されるため、機能性や効能が優れている商品は、特に効果を発揮することが期待できます。また、Instagramと異なり、投稿に対するリアクション数がオープンになっているため、その情報がいかに様々な人に影響を及ぼしているかということが一目でわかりやすいのも特徴です。実際に、Twitter上で大きな話題になり、店頭で売り切れてしまったような商品も複数あります。
さらに、相互性が高いTwitterは、受け取った情報に対する生活者のリアクションも蓄積されていくため、情報のプラットフォームとしても機能します。そのため、インフルエンサーを巻き込んでプロモーションする際も、話題に乗りやすいモーメントを意識したり、リアクションを狙って投稿内容を考えたりと、いかに戦略的に情報設計できるかが重要です。
YouTubeでインフルエンサーを活用する場合
YouTubeは小学生からシニアまで幅広いファン層が存在しており、動画コンテンツのプラットフォームとして、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからも閲覧されやすいです。他の媒体と比べて、より詳細な情報を伝えられるだけでなく、具体的な商品名で検索したり、使用レビューを探したりと、ニーズが顕在化しているユーザーに対してもアプローチしやすいため、大きな影響力が期待できます。
これまで紹介したInstagramとTwitterと大きく異なる点として、YouTuberはタレント性の高い人が多いため、企業側が伝えたいこと以上に、そのYouTuberの世界観やキャラクターを活かすことを優先しなければならない場合が多いです。YouTuberが抱えるファンから支持されるためにも、YouTuberがアレンジできる余白を持たせられるかが、成功のカギとなるでしょう。
TikTokでインフルエンサーを活用する場合
今最も勢いのあるSNSが、TikTokです。若い世代を中心に利用者数は爆発的に拡大しており、2020年だけでもTikTok発祥のトレンドが複数生まれました。瑛人の「香水」などがその代表例です。TikTokの動画は秒数が短く、編集の知識がなくても簡単にエフェクトや音楽などを付けることが可能であり、動画投稿のハードルの低さが特徴です。また、フォローの有無に関係なく、ユーザーの好みに合わせてオススメの動画が自動で再生されるため、今流行っている投稿を目にする機会が多く、有名人や人気TikTokerをマネした一般ユーザーの投稿も多いです。
これらの要素から、TikTokはSNSの中でも特に拡散力が高いと言われているため、マーケティング活動の目的を“若年層に向けた情報拡散”とする場合には、非常に適したプラットフォームだと言えるでしょう。留意点として、TikTokerも、YouTuberと同様にキャラや世界観が確立している人が多いため、その人らしさを重視した投稿を行うことが望ましいです。
インフルエンサーの種類とSNSを使い分けて効果の高いマーケティングを
最後に気を付けておきたいのは、インフルエンサーをプロモーションに起用する際、「インフルエンサーを起用すること」が目的になってしまってはならないということです。あくまでインフルエンサーは情報を届けるための「手段」であり、「目的」ではありません。情報拡散のため、商品理解を深めてもらうため、購買を促進するため…など、インフルエンサーを起用する目的を明確にしておくことで、どの階級のインフルエンサーを、どのSNSで起用するべきなのかが明確になるでしょう。
また、これまで説明してきたように、インフルエンサーの中には様々な階級が存在するだけでなく、それぞれの得意分野やフォロワーの属性は、インフルエンサーの数だけ異なります。SNSごとにも商材の向き不向きや、情報の広がり方に違いがあるため、全てを目的/ゴールに基づいて選定していかなければなりません。
インフルエンサーを活用し、より確度高く情報を届けて理想のリアクションを獲得するには、ターゲットの興味関心や趣味嗜好から逆算して情報設計を行う「トライブマーケティング」の考え方が有効です。トライブマーケティングについて詳しく知りたい方は『ペルソナ作りからトライブ形成へ。いまトライブマーケティングに取り組むべき2つの理由』こちらの記事も併せてお読みください。