平成はメディアにとってどんな年だった?各々の視点で平成に13文字のタイトルをつけて振り返ってみた|第2回ジェニ会レポート

間もなく終わりを告げようとしている「平成」。この30年間は、携帯電話やインターネットの普及、さらにはスマートフォンの登場により、情報との関わり方に大きな変化が起こった時代でした。誰でも気軽に楽しめるSNSは、普及どころか、話題になったものはニュースとしてテレビでも取り上げられるようになったほどです。

そんな生活者の身の回りで様々な変化が起こった平成に、メディアやPRの視点から「13文字のタイトル」をつけるとどうなるのだろうか?という私の興味から、今月4月17日、メディアの方々をお招きして、メディア視点で平成を振り返る『第2回(プチ)ジェニ会』を開催。本記事では、そんな第2回ジェニ会のレポートとして、参加者の皆さまが考えてくださった「平成を表す13文字のタイトル」から、時代を紐解くアイデアや視点の数々をご紹介します。(第1回ジェニ会のレポート記事『情報発信だけのコンテンツ作りはもう終わり。人気メディアの編集長&編集部と考える、ハネる記事の4要素|第1回ジェニ会レポート』はこちら)

「13文字の法則」おさらい

平成のタイトルをご紹介する前に、ここで「13文字の法則」について解説します。

「13文字の法則」とは、プレゼンテーションや記事のタイトルなど、読み手や聞き手に伝えたいことを伝える際に、最適な長さと言われている法則のことです。メディアやPRに従事する人間であれば、だれしも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

それではなぜ、10文字でも20文字でもなく”13文字”なのかというと、人間が一瞬で見て認識できる文字は1秒間に4文字と言われていることが関係します。その証拠として、映画の日本語字幕は、1秒4文字、1行16文字で2行までと決められています。

「今世の中で起こっている社会事情は、すべて13文字で言い表すことができる。」
ーそう話すのは、公益社団法人日本PR協会教育委員会メンバー/日本広報学会理事の田代順氏。その根拠に、Yahoo!ニューストピックスに並ぶ見出しは、すべて「13文字」以内になっていると解説しました。このYahoo!ニューストピックスの見出しは、世の中で起こった出来事が、端的にわかりやすく伝わるように、編集者やライターによって考えに考え抜かれたものです。

記者にとって見出しは、記事を生活者に読んでもらうためのものですが、PRマンにとっては、1日に大量のプレスリリースが届く記者の目に留まらせるためのものになります。そのため、PRマンにとっても「13文字の法則」は常に頭の片隅に入れておかなければならない法則であり、簡単に出来事が把握できるだけでなく、内容を読みたくなってしまうような見出しを作らなければいけません。伝えたいことを13文字で端的に言い表すためには、文章を書く以上に創意工夫が必要になるのです。

メディアによって感じる変化は様々

13文字の法則について解説しましたが、ここからはさっそくそれぞれのメディアが平成に付けた13文字のタイトルから、その理由と各メディアの視点を紐解いていきましょう。

マイナビウーマンから見る平成:「異性ウケからの転換点」

男性コスメや男性ネイルを推奨する、マイナビウーマンの臼井大輔さんは、マイナビウーマン内の2本の記事を引き合いに「異性ウケからの転換点」というタイトルをつけました。

今年4月に公開されたマイナビウーマンの記事、『今の私たちを強くした「平成ギャルの恋」 #平成恋歴史』。この時代は、日本中の女性の中に例えば「安室ちゃん」のような1人のミューズが存在し、彼女たちは「目指すべき女性像」≒モテる女性として、すべての女性の共通認識の中にいました。彼女のようになりたい、彼女のような女性は理想的、彼女のような女性はモテる…そんな時代だったのです。

この過去の女性像を振り返る記事から打って変わって、今年の1月に公開されたマイナビウーマンの記事のタイトルは、『「モテメイク」はもうやめた。白井瑶さんの場合 #コスメ垢の履歴書』。この記事からは、これまでの「世間的に理想的な女性像」を目指すものから、自分の中で考えぬいた「自分だけのなりたい像」を大切にするように女性の意識が変化したことが読み取れます。

コスメアカウントが増えたのも、この時代の変化を象徴した出来事だと話す臼井さん。他者欲求がありつつも、”異性に対する向き合い方”というより”自分が好きなようにふるまう”のが、現代の女性の姿なのです。また、パーソナルカラーや骨格診断の流行など、自分に最適化された自分のためのものを選ぶようになったのも、女性を取り巻く業界で起こった大きな変化の1つと言えます。女性ファッション誌の相次ぐ廃刊は、紙媒体の衰退を象徴しているようでしたが、実はそれ以上に、この女性の「多様化」や「パーソナライズ化」が大きく関係しているのかもしれません。

フィールドキャスターから見る平成:「タレントのウェブ動画解禁!」

主に芸能系のイベント取材を行っている動画メディア、フィールドキャスターの代表を務める田中政和さん。夕方情報番組のディレクターを務めていた経験もある田中さんは、平成に「タレントのウェブ動画解禁!」というタイトルをつけました。

田中さんがフィールドキャスターを立ち上げた2011年は、まだウェブ動画やウェブメディアと言う概念が普及しておらず、芸能系の取材に行こうと思っても断られることがほとんどだったそう。しかし時代が移り変わり、ウェブ動画がどんどん普及してきた中で、いつしかAKB48やジャニーズ等といった大物アイドルも、ウェブ動画に登場するようになりました。人気ユーチューバーが登場したり、地上波に出なくなった芸能人がウェブ動画で活躍していたりと、テレビではなくウェブが主戦場になっているタレントが出てきたことも、時代の変化を表しています。

このまま動画はテレビの視聴者を引っ張り抜いてしまうのか、それともウェブ動画に続く新たな娯楽コンテンツが登場するのか…。令和でも何か大きな変化が起こる予感がします。

マイナビ学生の窓口から見る平成:「平成とは、就活が多様性を失った時代」

昨年末、学生と人事が就活についてホンネで話し合うイベント、『就活ホンネ会議』を実施したマイナビ学生の窓口。平成が始まって間もない頃に自身の就職活動を経験した、プレゼンターの篠原友さんは、当時当たり前だった”リクルートスーツにひっつめ髪”が問題定義されるような時代が来るとは、まったく想像もつかなかったとお話ししました。

篠原さんが就職活動をしていた昭和の名残が残る時代は、みんな一緒で、みんな同じ理想を共有し、みんな同じ方向に向かっている時代。つまり、何でも「画一的」で、みんな「同じであること」が善とされている社会でした。それが平成が終わるころには、パンテーンのキャンペーン広告『#就活生1000人のホンネ』を筆頭に、画一的な就職活動や髪型・服装が良しとされる風習が疑問視されるようになり、自分らしさを大切にすべきという社会へと変化し始めたのです。

平成とは、マイナビ学生の窓口がつけた13文字のタイトルの通り、「就活が多様性を失った時代」であり、それと同時に「画一性が問題定義された時代」でもあったのではないでしょうか。これが令和では「就活で自分らしく輝ける時代」に変化していくのか、今後も目が離せません。

ライター視点から見る平成:「現代の短歌を詠む、吟遊詩人」

約5年間、ウェブメディアの編集やライティングに携わっているフリーランスの古田島大介さん。普段はお出かけ系メディアをはじめ、様々なジャンルのメディアに寄稿しているという古田島さんは、平成に「現代の短歌を詠む、吟遊詩人」というタイトルをつけました。

以前ある有名な起業家の女性が、「現代の人ってインスタとかツイッターで昔の詩人のようにアウトプットするよね」とツイートしていたそう。このツイートの通り、平成以前では、詩や写真を何のつながりもない人々にも見て読んでもらえるのは、詩人や写真家のようにそれを「生業」としている人々のみでした。しかしInstagramをはじめとするSNSが普及したことで、趣味でカメラをしている人の写真が何万人もの人に見られたり、最近ではnoteのように自分で綴った文章を公開する人も増え始め、詩人でも評論家でもない人の文章が影響力を持つようになったりと、情報発信する人を選ばない時代になりました。

それと同時に、情報を受け取った側は、リツイートやコメントなどで、自由に感想や意見を発信者に伝えられるようになり、発信者からすれば自分の発信に対する反応をダイレクトに感じられるようになりました。誰でも情報発信できるだけでなく、このようなイントラクションなコミュニケーションが生まれたのも、平成で起こった大きな変化と言えるでしょう。

さいごに

平成の30年間を振り返った時、新しい視点、自分では気づけなかった変化、自分だから気づけた変化…、いろんな人の視点を持って平成を振り返ると、何通りでもタイトルが考えられてしまいます。誰もが思い浮かべる「目立った出来事」や「大きな変化」は、ニュースで誰かが教えてくれるかもしれません。しかし、これまで様々な情報を生活者に伝えてきたメディアの視点では、より世の中や生活者の細かな変化を汲み取っているように感じました。

あなたなら、あと4日で終わる平成に何とタイトルをつけますか?みなさまの『#平成を表す13文字』の投稿を、お待ちしております。

★Special Thanks★

マイナビ学生の窓口/篠原さん、伊藤さん、佐藤さん
マイナビウーマン/臼井さん
フィールドキャスター/田中さん
フリーランス/古田島さん

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