メディアと読み解く注目のサステナビリティトピックス|戸沼 君香

日々、サステナビリティな情報に触れているメディアやフリーライターの方々へインタビューを行う連載『メディアと読み解くサステナビリティトピックス』。第11回目は、『IDEAS FOR GOOD』編集長の戸沼君香さんにお話を伺いました。

『IDEAS FOR GOOD』編集長 戸沼 君香
社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン『IDEAS FOR GOOD』編集長。高校2年生の時に留学したデンマークを好きになり、卒業後もフォルケホイスコーレ留学やコペンハーゲンのNGO勤務を経験する。4か国語をあやつり、まだ知らない場所への冒険(Adventure)を愛するクリエイター。
マテリアルグループ株式会社 Eagleリーダー 中野さやか
2017年4月マテリアルに入社。プロデューサーとして日用品メーカー・ホテル・大手外食チェーン・スタートアップなど多種多様なブランドを50社以上支援。2021年9月からマテリアルグループのCD本部マーケティング局に移り、コーポレートブランディングとサステナビリティプロジェクトのリーダーを務めている。趣味は植物と料理、ピクニック。【受賞歴】ACC:ブロンズ/CODE AWARD:GOOD EFFECTIVE/PRアワードグランプリ:ブロンズ

戸沼さんの取材・執筆時のポイント
①ビジネスパーソンへインスピレーションを与える情報・記事を展開
メインターゲットは、20~30代のミレニアム世代のビジネスパーソン。特に、サステナビリティに関して興味がある方や、サステナビリティの新規事業開発に携わっている方、企業CSRをこれから担当していかなければならない方に対して、情報をリサーチできるサイトだけでなく、行動のインスピレーションを与えるサイトとして意識しながら運営しています。また、環境問題のほかに、ジェンダーに関する記事に対して反響が多いこともあり、コンプレックスを刺激するような広告や女性軽視のような広告が増えているなかで、「私たちはどのような広告であれば見てみたい」のか、読者とともにジェンダーポジティブな広告を作ってみるという、実際に身になるワークショップなども開催しています。

②世界各地からの情報収集力
『IDEAS FOR GOOD』は、イギリスやオランダ、フランスなど、ヨーロッパ在住のメンバーからも情報収集をしています。具体的な内容としては、現地のコミュニティでヒアリングした情報や、現地のサーキュラーエコノミーの動向などのリサーチ、現地をまわるオリジナルの視察ツアーや、イベントの企画などです。加えて、南米地域のブラジルや、ウガンダ共和国などからも情報を得られるよう、ライターを採用しています。

戸沼さん注目のサステナビリティトピックス
「多元世界」
現在、『IDEAS FOR GOOD』として「多元世界」について注目しています。今年6月から特集を始めたテーマでもあり、編集部内でも多元的な考え方や多元世界とは何かについてよくディスカッションしています。メディアの発信者としては、いろんな世界に生きている人たちがいて、自分たちの思考の偏りや、どんな世界に普段生きているのかを認識した上で情報発信した方が良いなと日々考えています。自分たちの生きる世界における正義がすべてだと思い込んでしまった結果、分断が起きているとSNS等を見て感じているんです。なので、世界にはいろんな人がいる、人間以外の生物の世界もこんなに存在している、ということがもう少し広がったらいいな、「自分たちと、彼ら」のような分断された世界ではなく、優しい世界になったらいいなと思っていますね。

特に、個人的には「脱植民地」というテーマに興味があります。たとえばイギリスでは、その昔ヨーロッパ諸国がアフリカ地域を支配していた構造や、さまざまな地域での先住民からの搾取の構造が今でも変わっていないという現状から少しずつ抜け出し、今まで耳を傾けられてこなかった声を拾う考えが広がっています。「多元世界」というテーマの中でも「脱植民地」は、さまざまな人が理解できるトピックではないのかと感じています。

戸沼さんの気になった企業の取り組み
三島食品「青のり」
2020年7月、原材料不足により従来の「青のり」を販売できないことから、代替品を用いて販売。その際に、一時的とはいえ、材料が変わったことを伝えるために、商品名とパッケージを変更しました。別の商品となっていることを開示する正直な企業姿勢が、マーケティング的にも支持を得る方法なのではと、関心した事例です。2021年11月1日には、元の商品である「青のり 2.2g」の販売を再開しているようです。


\戸沼さんの執筆記事・担当コンテンツはこちら/
いま知りたい「プルリバース」とは?【多元世界をめぐる】
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