日々、サステナビリティな情報に触れているメディアやフリーライターの方々へインタビューを行う連載『メディアと読み解くサステナビリティトピックス』。第8回目は、株式会社Gab 代表取締役CEOの山内萌斗さんにお話を伺いました。
株式会社Gab代表取締役CEO 山内 萌斗 静岡大学情報学部行動情報学科1年次の12月に株式会社Gabを設立し、現在4期目。フォロワー数4.4万人超えのInstagramアカウント『エシカルな暮らし』の運営では、エシカル消費を軸とした、社会問題に対する深い洞察やライトな話題まで、専門性のあるコラムを発信。そのほかにも、ゲーム感覚ゴミ拾いイベント『清走中』や、SDGs領域に特化したInstagramコンサルティング・運用代行など複数の事業を展開している。 |
株式会社マテリアル Eagleリーダー 中野 さやか 2017年4月マテリアルに入社。プロデューサーとして日用品メーカー・ホテル・大手外食チェーン・スタートアップなど多種多様なブランドを50社以上支援。2021年9月からマテリアルグループのCD本部マーケティンググループに移り、コーポレートブランディングとサステナビリティプロジェクト・Eagleのリーダーを務めている。【受賞歴】ACC:ブロンズ/CODE AWARD:GOOD EFFECTIVE/PRアワードグランプリ:ブロンズ |
山内さんの取材・執筆時のポイント
①媒体の棲み分けをして、「購買」につながる導線づくりを
『エシカルな暮らし』は、サステナブル領域で国内最大級となるInstagramのアカウント
です。ただコンテンツを発信して「認知」してもらうだけでなく、「購買」までつなげるメディアであることを大事にしています。具体的にいうと、Instagramではエシカルな商品や知識を発信して、実店舗やECサイトで実際に商品を購入できる形をとっています。特に、エシカル商品は実店舗で確認してから購入したい方も多く、売上規模はECサイトよりもかなり大きいのが実情です。エシカルに興味・関心がある方に漏れなくアプローチするために、媒体を使い分けています。
②「情報の透明性」を担保する
エシカルにおいて大事なことは、「事実として、社会課題解決につながっているか否か」です。エシカル商品といいながらも工場の労働環境が悪かったり、環境に負荷がかかっているような過程があったりしては、読者や消費者を裏切ることになります。「透明性の担保」に責任を持ち、クライアント様には工場や成分についての詳細データを必ずすべて提示いただき、『エシカルな暮らし』で扱えるものかを精査しています。また、発信する情報元についても、基本的には国連の公的統計や新聞社が提供するデータを参照・引用しています。
③エシカル疲れせずに楽しく継続できるコンテンツに反響が
たとえば、「プラスチックは一切使わず、エシカル商品だけを買う。」など、完璧なサステナブルを体現すると、どうしても不便さを感じる面が出てきてストレスが溜まるものです。なので、私たちは“正しさよりも、まず楽しさ!”を追求することをテーマにおき、できる範囲で日常生活にエシカルを取り入れられるようなコンテンツ発信をしています。世の中には「社会課題に取り組むのは、特段関心のある人」というような固定観念があるため、そこに切り込むプラスチック問題の本質やバナナの闇に迫った記事などは反響がありますね。他にもホタテの貝殻からできたネイルなど、エシカル消費のハードルを上げすぎず、無理なく楽しく継続できるようなコンテンツを考えています。
山内さん注目のサステナビリティトピックス
大手企業の参入と実態
サステナブルはまだニッチな市場なので、求められていないのに販売すると価格ばかりが高い印象を与えてしまい、顧客離れ、商品の大量廃棄が起きてしまいます。利益率が重要視される世界で、どのように顧客の意識改革を行い、サプライチェーンを変化させていくのか。社会全体でエシカルに向けて取り組める時代がくると、世界のさまざまな問題が商品によって解決できるようになるので、今後さらに市場に参入してくるであろう大手企業の動きに注目しています。
山内さんの気になった企業の取り組み
無印良品さんが展開している、植物由来の原料を使ったヴィーガンレザーや、食品・日用品の量り売りはいい取り組みだと思います。あとは、Allbirds(オールバーズ)さんも個人的に大好きなブランドですね。靴の製造過程で排出される膨大な量のCO₂を極力排除して、天然由来で持続可能なシューズづくりをされています。私もここのスニーカーを長年愛用しているのですが、本当に履き心地が良くて。社会貢献を体現しているからこそ、商品を使っている自分自身も、人類から歓迎されているような感覚が得られる。こういった“体験があるものづくり”は幸福度も上がりますし、エシカルを推進する上で今後私たちも取り組んでいきたいと思っています。
\山内さんの執筆記事・担当コンテンツはこちら/
・LOVST TOKYOのNaked Sacocheが軽くてかわいすぎる
・寄付が迷惑に? 古着回収の知られざる裏側
フリーライター。採用広報のコンテンツ制作や取材・インタビュー、トラベルクリエイターとして旅行コラムの執筆などを行う。「アジアを旅しながら暮らす」をテーマにブログも運営している。