「徒歩3分の不平等感」を持つことから始めるPR思考|明日からマネできるPR#1

日々模索している中で最近気づいた「PR視点で大切なこと」

生活をしていると、どうしても「不便だな」と感じることは起こるもの。特にマイノリティになればなるほど、その不便さを感じる機会が多いかと思います。

大衆向け商品やサービスはどうしてもマジョリティに合わせて製作されます。例えば、電車の改札も右利きの人が便利なように、右側にICリーダーが設置してありますし、自動販売機も右側に紙幣や硬貨を入れるスロットがあります。

PR会社に転職して1年。どんなことがPR目線につながるのかなと、日々模索している中で最近気づいた、PR視点で大切なこと。それは「日常の当たり前は、本当に当たり前なんだろうか」と考える思考プロセスなのではないかと思っています。

実はそう感じたのは、先日参加させていただいた『日経クロストレンドEXPO2018』で、花王のマーケティングご担当者様がお話されていた「スモールマス」の考え方を聞いたことがきっかけでした。その時お話されていた「スモールマス」の内容については、雑誌・宣伝会議の2018年4月号でも同様に掲載されているので是非ご一読いただきたいのですが、御担当者様いわく、「今後このスモールマス=大衆商品・サービスではない、一定規模の母集団を持つ市場が数多く生まれてくる」とのこと。

私もその意見に同意したとともに、この「マスではない一定規模の母集団」を見つけることこそが、今後のPRのカギになるのではと考えています。

必要なのは”それが普通であると決めつけない”思考プロセス

マスではないので、探るためには頭をかなり柔らかくする必要があると感じました。そのために私が気をつけていることが、先述した「日常の当たり前は、本当に当たり前なんだろうか」という、”当たり前”に疑問を持つ思考プロセスです。

タイトルで書かせてもらった「徒歩3分の不平等感」。近くの人に話したところで「え?なんで?」と言われましたが、私の考えはこうです。不動産の部屋紹介や、飲食店の駅から〇〇分のこの表記。そもそもこれは、「脚が満足に動く人」という前提がすでにあることに気づきました。車いすの方、杖を活用しないと歩くことが困難な方、介助が必要な方…そのような方は、到底3分では到着しないのです。

この話を出すと、皆さまが「普通」と思っている様々なものに疑問が生まれてくると思います。もちろん、この表記が悪い!差別的な表現だ!と言っているわけではなく、そもそも「足が動く平均的な大人が歩いたら平均このくらいの時間がかかりますよ」という目安であるということですし、さらに言えば「80mを1分と換算して算出している」という業界の慣例であるということは重々理解しています。
ここで私がお伝えしたいのは、「それが普通であると決めつけないこと」の思考プロセスです。

スモールマスをターゲットにするメリット

今まで疑問にも思われなかった商品カテゴライズを払拭し、新しいスモールマスで成果を出している商品も近年出てきています。

例えば男女兼用の柔軟剤「レノアハピネス」。まさに私がスモールマス代表であったため、「柔軟剤は女性が使うもの」だと思っていましたし、だから女性が好きな香りが多い柔軟剤市場から商品を選ぶ際、「香りが強すぎる」「香りが女性的すぎる」という理由で、選ぶのに苦労した経験がありました。

前に座る同僚が先日提案した企画書も、私はずっと普通に受けていた健康診断を「定期的に受けていない層がいる=専業主婦」、というところに気づき、企画を作成していました。私も言われるまで気づきませんでしたが、専業主婦は企業に入っていないので、健康診断を半ば強制的に受診する機会がなく、自発的に健康診断を受けに行く必要があるのです。

スモールマスに支持をされると、ファン化がとても容易で、継続的にロイヤルカスタマーでいてくれるというメリットもつきます。今後この気づきは必要不可欠になると考えています。

“左利き”からの支持でヒットしたボールペン

私はご依頼いただいた商品やサービスを、まずは懐疑的に見ることから始めます。現状の商品やサービスに不満を持っている人はいないだろうか?その商品が「知らず知らずに当たり前だと打ち出している部分」はどこだろうか?そして、その商品やサービスに紐づけられそうな、スモールマスに通ずる社会課題はなんだろうか?不満に感じる人は社会に一定数の母集団を形成しているか?そんなことを考えます。「徒歩3分ってよく考えたら不平等だなぁ!」と気づいたのも、この思考プロセスがきっかけでした。

PRのいいお手本として私が取り上げたいのが、「インクが従来品より85%速く乾燥するボールペン」の話です。この速乾ボールペンは、「左利き歓喜!全然手が汚れない!ありがとう!」という意見から、端を切ったように爆発的に売れ始めたそう。結果として、文具界では100万本売れたら大ヒットと言われる中、2年で600万本以上の大ヒット。左利きは日本全体の約11%いると言われているため、十分「一定規模の母集団」であることは、説明せずともご理解いただけるかと思います。

つまり、このヒットをPR的に解釈すると、右利きなら感じることのない「書いていると手が汚れる」というマイノリティの不満(スモールマス課題)を解決するという着眼点を見出したことが、成功のカギだったと考察できます(実際担当が意図して発信したわけではなく、利用者の声から広がったと書かれておりましたが)。

12月は忘年会シーズン。私はお酒が好きなので、「ハイボール濃い目に作っておきました!」などと言われたら、「サービスがいい店だなぁ!」と感じますが、お酒があまり飲めず半ば強制的に注文された人にとっては「ありがた迷惑」だという意見もちらほら。

まだまだPR2年生。勉強することは山のようにありそうです。

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